2010年1月9日土曜日

特別会計にメス?

 菅副総理が財務大臣に就任した。その就任演説で、「隗より始めよ」ということで、財務省が抱えている特別会計にメスを入れるという。すでに事務方に調査を依頼したと聞く。大いに期待したい。

 一般予算よりも巨額の特別会計が100兆円以上ある。しかも、その実態が国会で議論されないというから驚きである。既得権益や、ムダな公共事業の温床となっている闇である。茨城空港の建設など、その際たるものであろう。

 しかし、官僚側の反発は相当なものであろう。なにしろ、自分たちの自由にできた裏の財布である。過去にも、特別会計にメスを入れようとした多くの政治家が官僚やマスコミのわなにはまり失脚している。それを防ぐためにも、情報をしっかりと国民に明らかにしていくことが重要である。

2009年12月5日土曜日

借金返済の究極の手

 北朝鮮のデノミには驚いた。しかも、新旧紙幣の交換率や上限を考えると、貯金している国民は大損することになる。独裁政治ならではの奥の手であるが、よく暴動が起きないものだと感心してしまう。

 1000兆円を超える借金を抱える日本も、笑ってばかりもいられない。返済のめどがまったく立っていないからだ。もちろん、法治国家の日本では、北朝鮮と同じ手は使えない。暴動が起きるだろうし、国際的信用を失うだろう。

 最近、話題に上るのが政府紙幣の発行である。なにしろ、紙幣をつくるにはほとんど金がかからない。それを大量に刷って、借金返済にあてようというわけである。もちろん、貨幣価値が下がり、インフレの原因となる。しかし、デフレの今なら構わないという意見が強い。確かに、最も安易かつ手っ取り早い解決策であろう。

 しかし、少し考えれば、これは禁じ手であることは明らかである。借金を抱えている人間にはいいが、貯蓄や年金で暮らそうという人たちには痛手となる。場合によっては、ハイパーインフレを招く。何より、国際的信用を完全に失ってしまう。

 緊急対策的に、限度額を決めればよいという意見もあるが、一種の麻薬である。事業仕分けに対する反発をみれば分かる。金はいくらでも欲しい。節約しなくて済むとなったら、打出の小槌と思うのは必至である。

2009年11月30日月曜日

ドバイショック

 ついに噂されていた心配事が現実のものとなった。ドバイの金融破たんである。サブプライムローン問題から、中東の国にも、いずれ金融問題は降りかかると言われていた。それが現実のものとなったのである。

 その結果、なぜか円が急騰している。収入が40兆円に満たない国にも関わらず、90兆円を越すような予算を組んでいるのが日本である。そんな国に信用があるわけがない。それにも関わらず、円が急騰しているのは、ユーロやドルがドバイに多額の投資をしていたからである。

 とは言っても、日本経済も中東にかなり依存している。円だけが高騰しているのは、何か解せない。国際マーケットで何が起こっているか。それを見極める必要がある。それにつけてもグローバルな視点で物事を判断することが、いかに大切かが今回の事件で分かる。日本の現状を見ただけでは、円の高騰は説明できない。

2009年11月28日土曜日

世界二ではなぜだめなのか

 スーパーコンピュータ予算が事業仕分けで見送りとなったことで大騒ぎとなっている。歴代のノーベル賞受賞者も仕分けを批判している。そこで、話題になったことが世界一を目指すことの意義であろう。蓮舫議員の「なぜ世界二ではいけないのか」という質問が、科学者の逆鱗に触れたのかもしれない。

 科学者の一致した意見は、科学の世界では世界一を目指すことに意義があるということである。しかし、これは、世界一という言葉の解釈にも問題がある。科学の世界では、世界一ではなく、世界初が意義があるとされている。新しい原理、新しい理論、新しい材料など、誰が最初に発見したかが、科学の世界ではすべてとなる。栄誉は、すべて、この世界初の科学者に与えられ、二番手にはいっさいの栄誉は与えられない。

 ところが、仕分け作業で注目されている世界一は、コンピュータの演算速度である。その計算速度を競うことに、どれだけの科学的意義があるのだろうか。世界一になっても、すぐに追い抜かれる。

 ましてや、コンピュータは、そのままでは、ただの箱であり、そこにソフトが加わってはじめて意味が出る。コンピュータに何をやらせるかが大事であり、計算が速いだけではあまり意味がないのである。

 蓮舫議員が聞きたかったのは、この問題であろう。ところが、多くの科学者は世界二に敏感に反応した。面白いことに、日本のグループが3800万円の予算で日本一演算速度が速いコンピュータを開発したというニュースが流れた。計算を速くするだけなら、市販のパソコンを並列につなげるだけで十分なのである。1000億円の金をつぎ込む必要などない。

 むしろ、予算カットで問題になるのは、若手研究者の雇用の問題であろう。文科省の失政で、フリーターの博士が異常に増えている。その雇用をいかに確保するかが課題となっている。科学予算が削られると、これら雇用が守られなくなる。それこそ、多額の予算を投資して育ててきた日本の頭脳が、ムダになる。それこそが問題であろう。

2009年11月21日土曜日

おねだり科学者集団

 いろいろな所で報道されているので、ご存知の方も多いと思うが、ここでは毎日新聞の記事を引用してみよう。

 行政刷新会議の事業仕分けで、「来年度予算は見送りを含む削減」を断じられた「次世代スーパーコンピュータ開発」について、大学教授らで組織された「計算基礎科学コンソーシアム」(代表=宇川彰・筑波大学副学長)はこのほど、同開発を「迅速かつ着実に推進することが極めて重要でここに強く訴える」などと、開発継続を求める緊急声明を発表した。

 同開発で事業仕分けが出した結論に対し、「見送りに限りなく近い縮減。今回の唐突な結論は、我が国の科学技術の進歩を著しく阻害し国益を大きく損なう」と、不適切な判断だと批判している。

 同コンソーシアムは「スパコンは、現代の科学技術全体において主要な位置を占めている」としたうえで、「国民生活につながる最先端の技術開発では、スパコンを使ったシミュレーションが、国際競争力における主要な武器になっている」と、同開発が基礎科学の研究の遅延など、影響は大きいと訴えている。

 ブログでも書いたが、いまのスーパーコンピュータ開発には問題が多すぎる。その証拠に、内容に詳しい計算機科学の第一人者である金田康正・東京大学教授が、仕分け人として、スパコン予算削減に賛成する立場に回った。理由のひとつは、同開発に関係するスパコン御三家のうち、NECと日立製作所が撤退したこともある。

 日本が世界一の演算速度を誇ったのはNECの地球シミュレータである。その企業が撤退した背景を推して知るべきであろう。神戸に大きな箱物をつくり、巨額の無駄金をつぎ込む。1500億円あれば、もっと建設的な科学振興策はとれるはずである。 

 これだけの巨費が投じられれば、当然、利権が生じる。そのオコボレに預かれると思っていた科学者は、科学技術立国を錦の御旗にして利権を守ろうとする。ダム建設に寄生虫のように群がる連中と変わりはない。

2009年11月15日日曜日

国立女性教育会館

 事業仕分けで、民主党の蓮舫議員と言い合いになってテレビで繰り返し放映され有名になったのが、国立女性教育会館である。女性教育の振興を図り、男女共同参画社会の形成に資することを目的として設立された組織とある。

 蓮舫議員に対し、理事長の神田道子氏は、「なぜいま女性教育なのか」を説明させてほしいと訴えていた。しかし、時間は限られている。それに、女性教育の必要性を否定するひとはいないだろう。この組織の問題は、そのために巨大な箱物を建設しているという点である。女性教育は、箱物に巨額の予算をつぎこむよりは、より実質的なものに使ったほうがはるかに効率的である。

 この組織は埼玉県に位置し、テニスコートやプールに宿泊施設まである。こんな設備が女性教育に必要なのかと、以前から問題視されていた。女性研究者からも、不必要な箱物と指摘する声が多かった組織である。

 しかも、蓮舫議員が指摘したように、立派な宿泊施設を持っているが、稼働率が低いうえ、女性教育のための機関といいながら、一般にも格安の宿泊料で提供している。ただし、場所が不便なうえに、宿に使えると表立って宣伝もできないため、結局、赤字の垂れ流しとなっている。

 真の男女共同参画や女性教育をめざすならば、箱物ではなく、より教育を実質化する事業に投資すべきである。あの場に引きずり出された理事長に責任はないが、文科省として発想の転換が必要であろう。

スーパーコンピュータ

 政府の事業仕分けチームが、理化学研究所の世界一の演算速度を目指したスーパーコンピュータ開発を事実上ムダと位置づけたことが大騒ぎとなっている。日本の科学技術が大きな遅れをとると危惧する声もある。所長の野依氏も怒っていると報道されている。

 ただし、世界一はやいコンピュータができなければ日本が世界に遅れをとるという心配は、まったく意味がない。いま、世界一の座を獲得しているのはアメリカであるが、それ以外のヨーロッパやアジアの国の科学技術が遅れをとっているかと問えば明らかであろう。
むしろ、アジア圏など元気がある。

 それに、日本の威信というが、世界一の座を誇っていたのはNECの地球シミュレータであり、オールジャパンの技術ではない。それを、理化学研究所という国の機関に1000億円以上の予算をつけて開発させるということ自体、胡散臭い。だまって、NECにやらせればいいのである。

 役人が口を出したとたんに頓挫するというのが、多くの事業である。スーパーコンピュータ開発も同様である。理化学研究所が音頭をとって、NEC、日立、富士通の合同チームで開発するというのは聞こえはいいが、実は呉越同舟である。

 コンピュータ開発では、それぞれの企業がノウハウを持っている。NECはベクトル方式、富士通はスカラー方式という方法を採用している。今回は、これら水と油の関係にあるものをごっちゃまぜにして、言葉では「世界初のハイブリッド方式」などと呼んでいるが、明らかに役人の発想である。

 しかも、企業を巨大プロジェクトの責任者に据えておけば、開発費が足りなくなったら、自腹を切ってでも開発をやりとげるはずという魂胆もみえみえである。結局、NECと日立は撤退することを決めた。

 さらに、NECが世界一はやいコンピュータを開発したからと言って、みんながスーパーコンピュータをNECに発注するわけではない。プロジェクトごとに異なり、東大は日立製を使っている。世界一にならなくとも、演算処理にさほど支障はないのである。したがって、科学技術が遅れるというのは役人言葉でしかない。それにだまされたマスコミがはやしたてているだけである。

 次世代スーパーコンピュータ開発には、すでに巨額の予算が投じられているが、理化学研究所に巨額の予算を渡すという文部科学省の失策のために、めどが立っていない。ダムなどの公共工事と構図は同じなのである。