2009年12月5日土曜日

借金返済の究極の手

 北朝鮮のデノミには驚いた。しかも、新旧紙幣の交換率や上限を考えると、貯金している国民は大損することになる。独裁政治ならではの奥の手であるが、よく暴動が起きないものだと感心してしまう。

 1000兆円を超える借金を抱える日本も、笑ってばかりもいられない。返済のめどがまったく立っていないからだ。もちろん、法治国家の日本では、北朝鮮と同じ手は使えない。暴動が起きるだろうし、国際的信用を失うだろう。

 最近、話題に上るのが政府紙幣の発行である。なにしろ、紙幣をつくるにはほとんど金がかからない。それを大量に刷って、借金返済にあてようというわけである。もちろん、貨幣価値が下がり、インフレの原因となる。しかし、デフレの今なら構わないという意見が強い。確かに、最も安易かつ手っ取り早い解決策であろう。

 しかし、少し考えれば、これは禁じ手であることは明らかである。借金を抱えている人間にはいいが、貯蓄や年金で暮らそうという人たちには痛手となる。場合によっては、ハイパーインフレを招く。何より、国際的信用を完全に失ってしまう。

 緊急対策的に、限度額を決めればよいという意見もあるが、一種の麻薬である。事業仕分けに対する反発をみれば分かる。金はいくらでも欲しい。節約しなくて済むとなったら、打出の小槌と思うのは必至である。