2008年5月28日水曜日

船場吉兆廃業

 ついに船場吉兆が廃業することになった。当たり前であろう。客が残した食べ物を使い回していたと聞けば客は寄り付かない。しかも、吉兆は高級料理店である。一人当たりの食事代が数万円というのが当たり前である。そんな店が残飯を客に出していたのではしゃれにならない。

 いま、巷で話題になっているのは、他の店も同じことをやっているのではないかという疑いである。かなりの店があやしいというのが一般的な見方である。

 トーマスの父は絶対に店屋物を食べなかった。家族が出前を頼んでも、決して自分は手をつけない。理由は、自分は料理店でアルバイトしたことがあるからだという。その先を聞くのが怖かったが、人が食べる物など気にせずに何でもありという店が多いのかもしれない。

 そういえば、居酒屋でバイトしていた友人が言っていた。床に落とした食材を水道水で洗って客に平気で出していたと。トーマスは最近居酒屋には行かない。禁煙席がないこともその理由であるが、やはり食材に信用がおけないからだ。

2008年5月14日水曜日

四川地震

 中国四川省での大地震で、多大な人的被害が起きた。10万人以上の死者が出ているのではないかという推測もある。なかでも驚くのは、安全であるべき小中学校の崩壊である。本来、学校はもっとも安全であるべき場所である。その証拠に日本では被災した時、地域の学校が避難場所になる。ところが、今回の地震では学校が無残に崩壊し、多くの生徒たちが犠牲になっている。

 実は、中国では、公共工事は金のなる木である。いくらでもごまかせる。特に学校の建設は不正の温床となっているようだ。崩壊した学校を見れば、いかにずさんな工事であったかが分かる。中国では「おから工事」と呼んで、役人によるピンはね、業者による手抜き工事は日常茶飯事らしい。

 しかし、日本は中国を笑えるのであろうか。阪神大震災のときを思い出して欲しい。あの程度の地震では崩壊するはずのない高速道路が跡形もなく壊れた。破壊のあとを見れば、手抜き工事は明らかであった。道路工事に関わる不正があったのである。

 ところが、あれだけ不正工事が見つかったにもかかわらず、誰ひとりとして罰せられることはなかった。ひどい話である。それ以降、建設業者や設計業者はなにをやっても罰せられないと思ったようだ。耐震偽装など日常茶飯事というわけである。そして、姉歯事件は起こるべきして起こった。

 とはいえ、民主主義から程遠い中国で、しかもオリンピックを間近に控えたいま起こった悲劇は、悲劇を助長するであろう。彼らは、自国の恥部が表にでるのを極端に嫌っている。被災者を助けるよりも、それを犠牲にしても自分達のメンツを立てる。それが今の中国のスタンスである。

2008年5月8日木曜日

日本対中国

 中国の胡錦濤国家主席が日本を訪れ、友好外交を演じている。チベット問題で窮地に立たされていることも、異例の友好ムードを醸し出している一因かもしれないが、その真の背景はよく分からない。いまだに初等教育で、日本人がいかに残酷な人種かということを、これでもかと繰り返し教えている現状をみると、とても真の友好ムードが生まれるとは思えない。

 現在、中国が共産党独裁政権であり、言論が厳しく統制されていることから、日本をはじめとして西側諸国は、中国は民主化されていないと非難している。確かに、国家主席が選ばれる過程は不透明であるし、自由に意見が言えないのも確かである。

 しかし、一歩下がって、日本の現状を見たらどうだろうか。日本は中国に比べて本当に立派な国なのであろうか。自民党の独裁政権が50年以上の長期にわたり、それにぶらさがった利権集団に国は牛耳られている。言論も自由ではない。年金、健康保険、道路財源、すべて国民には真の姿は隠され、一部の人間が利権を享受している。まさに中国と同じ構図である。

 中国の国家主席に相当する総理大臣の選出方法も密室で行われている。唯一例外は小泉首相の時であろう。こう見ると、日本は中国を非難できないことが分かる。いや、中国よりも悪いのは、このような状況のもとで、国の借金が1500兆円まで増えてしまったことである。中国は確実に成長している。今後、日本に待っているのは重税国家しかないであろう。

2008年5月6日火曜日

パンダ外交

 東京上野動物園のパンダリンリンが亡くなった。これで日本国籍のパンダはいなくなったことになる。他の8頭のパンダはすべてレンタルである。その費用はつがいでレンタルすれば1億円と言われている。しかも、たとえ子供が生まれても、中国籍となる。

 1972年、田中角栄首相のときに日中国交回復が実現し、その記念にカンカン、ランランが日本に贈られた。つまり、この2頭は日本国籍となったのである。ところが、ワシントン条約成立に伴って絶滅危惧種であるパンダの輸出入が難しくなった。そこで、現在はレンタルという方式をとっている。外貨が欲しい中国の要求ともマッチしているというわけである。

 はじめてパンダが上野公園に来たときには、大変な騒ぎだった。連日、長蛇の列で、あまりの行列に、長時間待っても、肝心のパンダの前をあっという間に通りすぎるしかなかった。それでも珍獣を一目見たさに人は並んだ。「客寄せパンダ」という言葉ができたのは、この騒ぎに由来している。

 中国によるパンダ外交は大きな成功を収めた。つまり、相手国民に中国に対する好印象を与えるのに役立っているのだ。しかし、パンダは中国ではなくチベットの動物だという指摘もある。確かにパンダの生息地は四川省の旧チベット自治区にある*。

 さらに、これだけパンダの数が減ったのは、中国軍がチベットに侵攻し、パンダの生息地を荒らしたためであるという。皮肉な話である。つまり、中国の象徴である動物は、実は、中国軍によって絶滅の危機に瀕したというのだ。

 ただし、中国のチベット侵攻は、まさに日本軍の満州侵攻と同じ構図であり、日本は中国を非難できないという指摘もある。

* パンダはかつて広く中国全土に生息していたという説もある。森林伐採などによって消滅し、開発の進んでいなかったチベットで生き残ったのではないかとも言われている。

2008年5月4日日曜日

聖火リレー

 チベット問題に端を発する中国批判が聖火リレーに向かっている。各地でリレー阻止の動きがある。いままで報道が規制されてきたチベットを含む中国の人種問題を顕在化したいというのが人権擁護派の目的のひとつのようである。

 しかし、これに対し、世界各地の中国人留学生などが反発し、愛国心の名の下にリレーを守ろうと団結している。中国政府は、この動きを陽動し、歓迎しているのかと思ったら、必ずしもそうではないらしい。

 純粋な愛国心は、組織が巨大化すると、政府批判につながりかねないからだ。いままでは、情報操作によって世論をあやつってきたが、世界レベルでは、これは不可能である。中国の実態は、中国の国外でこそ知ることができる。

 例えば、中国は、江沢民時代に日本を徹底的に敵対視する教育を行っていた。いかに日本人が残虐であったかという歴史をこれでもかというくらい教えている。その内容をみると、これほど残酷なものを小学生相手に教えるのかと驚きを禁じえないし、トーマスでさえ読んでいて気分が悪くなるものであった。あれでは、他に情報のない、純粋な中国の小中学生には日本人に対する憎しみしか生まれないであろう。

 中国政府は、日本を仮想敵国とすることで、共産党独裁体制に対する不満を回避する作戦をとったものと思われる。しかし、なにかおかしいと中国の若者は感じている。言論統制があるということを肌で感じているからだ。その証拠に、そのような教育を受けた多くの若者が日本に留学を希望し、実際に来日している。

 平和の祭典オリンピックを主催すると中国が決めた時点で、このような事態になることは、ある程度予測できたはずである。インターネットなどが急速に進展した現代社会では情報統制などできないのである。

2008年5月3日土曜日

金で博士を買う

 横浜市立大学医学部で、学位取得に際して、教授らが学生から金銭を受領したとして問題となっている。金額は、総額で573万円という。この話を聞いて、「たったの?」というのが正直な感想である。

 実は、今回の問題は、博士課程の学生を対象にしたものである。しかし、問題は論文博士のほうにある。論文博士という制度は、博士課程に通わなくとも、博士論文を提出して認められれば博士号を取得できるという日本独特の制度である。

 個人の開業医の看板に大きく医学博士○○と書かれているのを良く見るだろう。一度も研究したことのない医者がどうやって論文を書いたのだろうと疑問であるが、実は、これには裏がある。丸投げなのである。つまり、開業医はいっさい論文に関わる研究をすることなく、金で学位を買うのである。相場は500万円以上とされている。

 それでは、誰が論文を書くか。その医学講座の助教授や助手である。彼らは、自分達の将来を教授に握られているので逃げようがないのだ。一方、教授は税金のかからない金が入るので、手軽に論文の代筆を引き受ける。

 ある地方大学での話である。欲ボケ教授が学位論文を6報も引き受けてしまった。それをまかされた助教授はたまらない。毎晩、深夜まで研究を続けた。そして、ついには過労死してしまったのである。遺族は、教授を訴えることも考えたが、残された家族の将来を考えて断念したという。裁判で闘っても、負けてしまうというのである。なにしろ、引き受けた教授も、論文を依頼した町医者も本当のことを言わないからである。