2009年10月31日土曜日

行政刷新会議

 行政刷新会議のメンバーが小沢幹事長の横槍で大幅に変更になった。その理由は実にばかばかしいものであった。政権奪取の悲願を達成した与党民主党にとって、何よりも大事なのは選挙であり、一年生議員にとっての大きな使命はつぎの選挙に勝つことである。そのためには選挙区の引き締めが重要で行政刷新などをしている暇はないということらしい。 

 本末顛倒とはまさにこのことか。国会議員の仕事は、選挙に勝つことではない。国民が民主党に期待したのは、議員として従来の硬直したシステムを変換することである。いままでの議員のように、地元優先で、国の利権を地方に持ってくることが仕事ではない。

 さらに、小沢幹事長は、あんな分厚い資料を渡されても、長年議員をやってきた自分でさえ内容が分からないと言っていた。その先に、ましてや一年生議員などには分かるはずもないと言いたかったのだろうが、一年生議員には、官僚出身者も多く、勘所が見えていたはずだ。まさに適役だったのである。

 長年対立してきた仙石大臣に手柄を横取りされたくなかったという見方もあるが、参院選挙を前にして、予算の大幅カットなどをしたら、地方の反発を受けて、選挙で負けてしまうという懸念もあったと聞く。しかし、これは選挙民をばかにしている。国民もムダ撲滅を期待しているのだ。

 もちろん、地方の首長や議員には、いまだに、国におもねて税金を掠め取ろうと画策する輩が多い。その協力なくてして選挙で戦えないという心配も分かる。しかし、これは、旧い発想であり、民主党は、そんな協力なしに選挙で勝ってきたはずだ。公示前一週間で立候補を決めた候補が選挙で勝ったのが何よりの証拠である。

 このままでは、自民党が民主党という名前に変わっただけで、政治の体質は何も変わらない。

2009年10月29日木曜日

ドラフト会議

 今年もドラフト会議が開かれる。この季節、思い出すのは30年以上も前のドラフトである。当時、高校球児で怪物と呼ばれた江川卓をどこの球団が獲得するかで大騒ぎになっていた。江川は巨人以外であればプロには行かないと宣言し、結果として法政大学に進学した。

 そして、四年後、ふたたびドラフト会議に臨んだ江川は、巨人以外の球団には入らないと公言した。ところが、巨人の単独指名と誰もが思っていたところに、弱小球団の近鉄が一位指名し、さらに交渉権を獲得してしまったのである。

 江川の選択肢は限られている。すでに大学を卒業してしまった。ノンプロに行くか、我慢して近鉄に入団するか。しかし、江川がとった行動は意外なものだった。南カリフォルニア大学への留学を決断したのだ。一年留年して、巨人の指名を待ったのである。

 しかし、江川の情熱は通じなかった。一年後のドラフト会議でなんと阪神が江川との交渉権を獲得したのである。そして、問題のトレード劇が起こる。当時、巨人のエースとして活躍してた小林が、なんと阪神江川と電撃トレードされるのである。

 めでたく、江川は巨人に入団したが、面白くないのは小林である。当時は、エースとして堂々の活躍をしていた。それが、新人の江川を獲得するために、球団から捨てられてしまったのである。

 この後、大卒や社会人には逆指名が許されるようになった。しかし、巨人と江川にはダーティーというイメージがつきまとうことになる。不世出の大投手も、最後は200勝もできずに退団した。

 南カリフォルニア大学のグランドでぶでぶに太った江川を見たとき、これではダメだと思ったが、やはり、高校時代の神がかった投球は、その後、見ることはできなかった。おそらく、スリムだった高校時代の球速がいちばん速かったのではないかと言われている。

 才能あるひとりの選手の運命を翻弄したドラフト会議。いまであったら、もしかしたら、江川は高校卒業直後に大リーグという選択もあったのかもしれない。

2009年10月26日月曜日

電気自動車

 どこの自動車メーカーも電気自動車の開発にやっきになっている。CO2を出さない究極のエコカーがキャッチフレーズとなっているが、ちょっと待てと言いたい。

 実は、20年ほど前にカリフォルニア州が環境への影響を配慮して、車に積む電池の使用を大幅に制限するという噂が流れた。州議会が法案を通そうとしているというのだ。そのため、アメリカのベンチャーと一緒になって、電池に変わるエネルギー貯蔵装置としてフライホイールを検討したことがある。実用には至らなかったが、それだけ車載用電池は問題視されていたのである。

 カリフォルニア州が懸念していたのは、その大量廃棄である。電池はなかなかリサイクルが難しい。(リサイクルするよりも新品を買ったほうがはるかに安いという問題もあるが)車の数を考えれば分かるが、その数は膨大である。勢い、不法投棄の対象となり、大量に野山に捨てられ、環境破壊の元凶となる。しかも車は長持ちしても電池の寿命は短い。1台の自動車で、何個もの電池が捨てられる。もちろん、スクラップになる車にも電池は積まれている。その処理に金がかかる。

 電気自動車ともなれば、巨大な電池を積むことになる。走行距離を稼ごうとすれば、その容量は、莫大なものになるであろう。そんな巨大電池が寿命がくれば数年で捨てられる。もちろんリサイクルという手もあるが、そのコストはばかにならない。それに、クリーンと銘打っても、電池をつくるときに大量のCO2を発生していることを忘れてはならない。

 電気をつくるのにもCO2は発生する。エネルギー効率を考えれば、直接変換がもっとも有利である。ガソリンをそのまま燃料にするというのは決して悪いことではないのだ。電気をつくるときに発生するCO2を考えると、どちらが環境にやさしいかは判断が難しい。

 何年か後に、大量の巨大電池が廃棄され、それを処理会社が自分の手に余ると、孫うけに出す。ピンはねされた孫会社は、不法投棄するしかない。その結果、環境問題を引き起こす。そんなことが起きないことを願っている。

2009年10月25日日曜日

唖然呆然民主党

 行政刷新会議の下で「事業仕分け」を行う作業チームが発足した。来年度予算案の編成で、必要性や効果の低い事業を洗い出すために設けられたものだ。統括する枝野元政策調査会長を含め民主党の国会議員32人がメンバーで、23日から財務省の担当者への聞き取りを行うなど、本格的に作業を始めた。このチームは期待できそうだと思った矢先、期待はもろくも崩れ落ちた。

 この作業が突然ストップしたのだ。理由はばかげたものだった。民主党の山岡国会対策委員長が23日、平野官房長官と会談し、作業チームのメンバーの半数近い14人が衆議院選挙で初当選した議員であることから、「新人議員は党の研修を優先すべきだ」という考えを伝え、平野官房長官も受け入れてしまったのだという。

 このため作業チームは、午後の作業を取りやめ、週明けに予定していた会合を中止するとともに、民主党側の意向を踏まえて新人議員などをメンバーから外し、チームの規模を半分程度に縮小するらしい。

 新人には、若手官僚出身者も多く、予算申請をよく知っているだけに、必要性の少ない予算の割りだしには最適の陣容と思っていた。それを、ばかなふたりに潰されたのである。過去官僚の斉藤氏を日本郵政社長に起用するなど、民主党の迷走が目立っていただけに、行政刷新会議には期待していた。それだけに、落胆も大きい。

特別会計

 「塩じい」の愛称で呼ばれている塩崎正十郎さんが財務相時代に特別会計に苦言を呈して発した有名な比喩がある。「母屋でおかゆをすすっているのに、離れですき焼きを食っている」母屋が一般会計で、離れが特別会計である。

 当時、一般会計が88兆円程度であったが、特別会計は240兆円とも言われた。情報がなかなか出てこないので、予算の総額も分からなかったのだ。官僚の裏の財布とも言われた。自民党の重鎮が特別会計を非難したことで、その改革が進むかと期待したが、期待はずれに終わった。

 実は、特別会計に巣くっている公益法人は山のようにある。存在意味のない法人がほとんどであるが、その予算の組み方はほぼ一緒だ。まず、何人の天下りを受け入れているかが基本となる。そして、一人当たり3000万円程度で計算する。予算の一割程度は法人が自由に使っていいので、天下りひとりの法人は少なくとも3億円の予算がつくことになる。10人のところは30億円である。もちろん、個室、ハイヤー、美人秘書が欲しいとなると、この単価は、もっと跳ね上がる。

 この計算をしたうえで、例えば30億円の業務委託をするには、どんな仕事を与えたらよいかをひねり出すのである。つまり、業務が先にあるのではなく、天下りを食わすために、どれだけの金がかかるかということで計算しているのだ。国が滅びるのは当たり前であろう。

 民主党が政権をとって、特別会計にメスを入れると宣言している。少しは期待したい。いまや国の借金は1000兆円を越すという。年収が40兆円しかない国である。とっくに破産しているのだ。

2009年10月24日土曜日

母子加算

 民主党政権になって、母子加算が復活することがほぼ決まった。苦しい生活を強いられてきた母子家庭にとっては朗報であり、将来の日本を支える子供を大切にするという理念ともマッチした施策である。

 朝のテレビで、母子家庭から喜びの声を報道していた。その中で、ある母親から「小泉だけは恨んでも恨みきれない人間だ」という発言があった。小泉改革によって母子加算が廃止されたという報道を受けてのものだろう。しかし、これには誤解がある。

 小泉さんが訴えていたのは「無駄排除」と「国民の自立」であったと思う。問題は、これをうけてとった官僚の対応である。自分たちの利権に絡む天下り先確保には積極的であったが、自分たちの利益とは無関係の出費を無駄として削ったからである。そのひとつが「母子加算」であった。

 小泉改革に反発していた官僚が画策した姦計とも言える。国民生活に直結する部分を切り捨てれば、当然、反発が起こるのは必至である。自分たちの組織は温存し、大事な予算を切り捨てたのである。そして、結果として「小泉改革は弱者切り捨てである」という誤った考えを国民に植え付けた。

2009年10月23日金曜日

日本郵政社長人事

 日本郵政株式会社の新社長候補の斉藤次郎という名前を見て驚いた。これでは、民主党の支持率は確実に低下するだろう。過去官僚ということだけではない。かつて、小沢一郎と組んで、国民福祉税構想を練った張本人だからである。

 1994年、当時の首相の細川護煕(日本新党)が未明に突然、消費税を3%から7%に上げると発表した。用途は福祉目的だから問題ないという論調である。深夜の記者会見がトレードマークの細川政権だったが、あまりにも唐突かつ突拍子もない発表だったので、大きな反響があった。もちろん大反発である。

 この記者会見で有名になった言葉が「腰だめ」である。細川首相は、記者からの質問の「なぜ7%なのか」に対し「腰だめで決めた」と応えたのである。私も、この回答には卒倒しそうになったことを覚えている。腰だめとは「銃を腰のあたりに当てて、大まかな見当で撃つこと」という意味である。つまり、準備や計画が整わない状態で、物事をはじめるという意味にある。消費税を7%に上げるのが腰だめでは話にならない。

 当時、細川首相の国民的人気は非常に高かった。それまでは、年寄りくさくて、スマートでない政治屋が首相というイメージが強かった。海外に出すのがはずかしいような政治家ばかりだったが、細川さんはマフラーをかっこよく巻いて、海外にもさっそうとデビューした。しかし「腰だめ」発言で、見た目はいいが、頭の中はからっぽということを国民に曝してしまったのである。当然、人気は急落し、退陣に追い込まれた。

 国民福祉税構想の仕掛け人が、当時の大蔵事務次官であった斉藤次郎氏と言われている。首相に「腰だめ」発言を許すような役人ではだめだろう。そんな人間が、復活したと聞いて、ただただ驚くばかりである。

2009年10月22日木曜日

とっくに破綻

 日本政府は、JALをなんとか再建しようとやっきになっている。日本にふたつしかない航空会社であるから、その重要性は言わずもがなである。しかし、JALはまさに親方日の丸の超不良会社である。巨額の赤字を出しても、月50万円の企業年金をOBに払い続けている体質を見ても明らかであろう。普通の会社ならば、経費を切り詰めるのが当たり前である。赤字の要因を垂れ流しながら、いずれ国が助けてくれるだろうとけろっとしている。

 しかし、JALどころではない火の車の国がある。それが日本だ。いまの日本を家計に例えてみよう。借金は一億円ある。年収はたった400万円だ。しかし、この家には放蕩息子や娘がたくさんいて、これを買って、あれも買ってと、なんと出費は950万円に達する。本来ならば、収入の400万円以下に出費を切り詰めて、少しでも借金を返すのが当たり前なのだが、なんと親は「今年はきびしいぞ。だから出費を920万円に減らすから、覚悟しろ」とばかなことを言っている。

 本来ならば、借金が一億円で、年収が400万円しかない人間に、520万円の金を貸すお人よしなどいないだろう。これに対し、ばかな経済評論家は、隠れ資産として一億円以上の貯金があるという。これは、日本国民の貯蓄総額が国の借金より多いということを言っているようだ。しかし、これでは、他人の財布をあてにして、放漫経営をしているばかな経営者と同じである。破綻は目にみえている。

 政権が変わって、日本は再生に向かうかと少し期待していたが、どうやら、日本丸の沈没は防げそうにもない。

2009年10月21日水曜日

西川社長辞任

 ついに、日本郵政の西川社長が辞任した。小泉郵政改革に一貫して反対していた民主党政権になったときから、いずれこうなることは分かっていたが、驚くのはマスコミの論調の変化である。

 かんぽの宿売却をめぐる不透明さを指摘し、西川社長は国民の貴重な財産を食い物にする極悪人であるかのような報道を繰り返していた。社説などでも、貴重な国民財産を取り戻せと主張していた新聞もある。

 しかし、かんぽの宿は、役人が採算を度外視し、とても集客が見込めないような場所にも天下り先確保のために建設したものである。それに、日本郵政がなにもしないまま、かんぽの宿を持っていれば、それだけ損失は膨らんでいく。バルクセールとして、一括売却したのは賢い方法だったのである。

 それを一軒ずつ精査し、こんな安い値段では国民の納得が得られないとマスコミは報道している。しかし、買うほうにしてみれば雇用を確保しろという条件を突きつけられたら、とても大金など出せるものではない。建物だけを買うのであれば、物件によっては、もっと高い値段はつけられただろうが、それでは、辺鄙なところに建てられたかんぽの宿は見向きもされなかったろう。

 ところが、西川社長が辞任となったとたんに、マスコミの論調はころっと変わった。全国一律サービスでは、採算がとれずに税金が投入されるのではないか。ふたたび郵貯の金が無駄な公共事業に使われるのではないか。これで、改革が逆戻りするのではないか。呆れてものが言えない。郵政改革の本質がなんであったかを韜晦し、いたずらに国民に郵政民営化が悪という印象を垂れ流していたのは、マスコミである。

 物事の本質を見つめ、それを正しく報道してくれる健全なマスコミが現れない限り、政権交代が起きても日本は変わらないであろう。

2009年10月19日月曜日

概算要求

 各省庁から上がってきた来年度予算の概算要求総額が95兆円となった。国の税収が40兆円を下回ると言われている中での暴挙としか言いようがない。もちろん、民主党政権では、かなり予算カットが予想されるので、要求だけは多めにしておこうという思いもあるのかもしれない。

 それにしても情けないのは大臣たちだ。野党に居た頃は、無駄だらけの予算の節約などいくらでもできると豪語していたが、いまでは自分の所管官庁の予算だけは減らさぬようにと必死に防御に走っている。

 まともなのは、前原国土交通大臣ぐらいであろうか。次から次と民主党らしさを出している。公共工事も大きく切り込んだ。しかし、周りの大臣がこれだけだらしないのでは、いずれ四面楚歌となって、現政権も自民党政権と変わらない体たらくになるのは目に見えている。

 予算カットで一番効果的な方法は一律にシーリングを課すことである。例えば、各省庁に、前年度の8割の予算を認める。その替り、中身は自分たちで精査しろと言えば済むことだ。削減を自分たちに決めさせる。しかし、民主党は、この手法をとりたくないらしい。ひとつひとつの予算を精査するという。

 予算項目は膨大だ。いちいち精査していたら、いくら時間があっても足りない。それに、利権にからむ圧力団体からの陳情も激しくなる。いままで甘い汁を吸ってきた連中が、その利権が消えそうだとなったら必死になる。非合法な手段も辞さないであろう。結局、官僚組織を変えない限り、政治は変わらないのだろうか。

2009年10月18日日曜日

とんだ間違い

 ある教育関連の国際ワークショップに参加して驚いた。文部科学省の顧問という有名大学の学長を経験した元教授が基調講演をしたのであるが、その英語が間違いだらけだったからだ。

 英語の発音はなかなかなもので、日本人には珍しいと最初は感心していたのであるが、使っているパワーポイントの英語に初歩的な間違いが多いのに、途中から困惑してしまった。文部科学省を代表して発表しているのだから、当然、官僚のチェックが入っていてしかるべきである。あれでは、日本の恥をさらしているようなものだ。

 なかでも困惑したのが、キャリア形成という英語である。carrier developmentと誤った英語がスライドに堂々と書かれているのである。それも、何度も講演に登場する。キーワードのひとつなのだから、当然チェックが入っていなければならないのに、どうしたのだろうか。ご本人は自信を持って話しているので、よけい始末が悪い。

 英語のcareer(経歴)をキャリアと発音し、carrierという表記をあててしまう日本人が多いのは事実である。careerの発音は韓国の英語名Koreaと同じで、発音は「クリア」である。carrierには「運搬人」という意味もあるが、「保菌者」という意味で使われることが多く、あまりイメージがよくない。実は、エイズ感染者のことをAIDS carrierと呼ぶ。

 それを同席者に確認したら、「役人は知っていて、わざと教えていないのではないか」と笑っていた。気に入らない人間がいると、役人は意識的に恥をかかせようとするのだそうだ。本当だろうか。いずれ、日本の文部科学省のレベルが低いと思われたことだけは確かである。

健康保険制度の破綻

 後期高齢者医療制度が廃止されることになった。75歳以上の老人にも医療負担を求めるもので、「姥捨て山制度」とか「老人切り捨て制度」などと非難された。年金制度にひずみがあり、社会保険庁が数々の不正を行っていたにもかかわらず、虎の子の年金から保険料を天引きするというやり方にも非難が集まった。

 もちろん、この制度には数多くの問題があり、是正すべき点も多いのは確かである。しかし、一方で、待ったなしでやってくる健康保険制度の崩壊がその背景にあることを忘れてはならない。高齢者に使われる保険料は年12兆円に達する。今後も増加の一途をたどるであろう。国の年収が40兆円しかない国で、この額は異常ではないだろうか。

 先日、個人病院に行く機会があった。そこで、驚いたのは、待合室にいる高齢者の多さである。確かに、高齢になれば健康に不安が出てくる。医者に相談したくなるのも道理であろう。しかし、驚いたのは、受け取っていく薬の多さである。いまは薬局で受け取るのが普通であるが、この病院では窓口で手渡していたので目にとまった。

 ある女性は、窓口であふれんばかりの薬をうけとったあとで、不満を口にしていた。いつももらっている薬が入っていないというのである。おそらく、病院は必要ないと判断したのだろう。少々のやりとりがあったが、病院も説得をあきらめたようだ。それから、10分ほどして、もうひとつの薬の山を受け取ると、彼女は満足そうに帰っていった。

 これでは、保険金が枯渇するのは必至であろう。すでに9割以上の健康保険組合が赤字に転落している。厚生労働省の役人の多くが製薬会社に天下りし、利権を死守しようとしていると聞く。健康保険制度に対し、抜本的な対策を講じない限り、日本の国そのものが崩壊することを忘れてはならない。

2009年10月15日木曜日

ハブ空港

 前原大臣に殺人予告があったと聞いて、ダム利権がらみかと心配したが、単なるいたずらだったようだ。民主党では、かつて裏社会の利権に手を入れようとした議員が殺害された歴史がある。このブログを見たからではないだろうが、驚いたことに週刊ポストが、ダム利権の闇の一端を暴きだしている。どこまで明らかにできるか疑問もあるが、期待して注視している。

 ところで、前原大臣はまた大胆な発言をして、注目を浴びている。羽田空港のハブ化である。いまや、東アジア地区のハブはソウルの仁川空港に完全に制圧されそうな勢いである。成田空港をないがしろにしているという批判もあるが、成田では国内空港へのアクセスが悪すぎ、ハブとはなりえない。その証拠に、多くの国内空港は成田ではなく仁川に飛んでいる。

 さらに、成田では滑走路の数が少なくて、輸送量も貧弱である。東京からの交通も不便だ。海外から来たひとが、必ず不満を口にするのが成田の不便さである。トーマスも、海外出張で羽田を使ったが、その便利さに感激した。これだけの大都市の表玄関が成田では恥ずかしすぎるし、観光という観点でも日本の競争力が保てないであろう。羽田空港のハブ化、大賛成である。

2009年10月14日水曜日

天下りの抜け道

 民主党政権になって天下りが一応全面禁止とされている。しかし、抜け道をいくらでも考えるのが役人である。考え出したひとつの方法が出向である。つまり、公務員の職に留まったまま、独立行政法人や財団法人に出向するのだ。実は、この方法は、若手官僚がずっとやってきたことだが、それを年寄り官僚にも適用しようという姑息な手段である。

 出向がおいしいのは、給与は出向先の規程に準じるからである。例えば、係長クラスの若い役人が出向しても、その先では課長や部長になる。驚くことに給料は、出向先の部長給与になるのだ。公務員は薄給だといいながら、出向先でハイヤーに乗り、接待費は使い放題、しかも、給料は破格である。
 
 天下りがだめなら、本来退職する役人を出向させよう。それが役人が考え出した民主党対策のようだ。しかも、この方式ならおいしい給与をもらったうえ、定年まで勤め上げられる。高い退職金をせしめることもできる。世の中には、天下りだけのための法人がごまんとある。出向先には困らない。

 結局、天下りは禁止になっても、税金の無駄遣いはなくならないという構図だ。石川五右衛門の辞世の句を思い出す。「石川や 浜の真砂は 尽きるとも 世に盗人の 種は尽きまじ」

石川遼

 世界的に名誉のあるゴルフのプレジデンツ杯に、18歳の石川プロが選出され、大活躍した。ただただ驚きである。この大会は、アメリカ代表プロ選手と、インターナショナル選別メンバーが対抗戦をするもので、アメリカ代表には、あのタイガーウッズも入っている。石川プロは、インターナショナルチームで、唯一人3勝(2敗)を挙げたのである。

 インターナショナルチームのキャプテンのグレッグノーマンの推薦という。ノーマンと言えば、ある出来事を思い出す。以前、同組でプレーしていた日本人有名プレーヤーに注意をしたのだ。その選手はラフに入ったボールのまわりの草をゴルフクラブでつぶしていたのである。実は、それまでにも国際ルールでは認められない行為を、この選手は繰り返していた。見かねたノーマンが注意したのである。

 日本のプロゴルファーはよく内弁慶と言われている。国内トーナメントでは勝てるが、海外ではさっぱりだからだ。

 これには理由がある。国内トーナメントでは、プレーに取り巻きファンがついてまわる。このファンがルール違反をするのだ。例えば、ひいきの選手がラフにいれたボールをフェアウェーに蹴り入れたり、ひどい場合には、OBに入ったボールを杭の内側に移動させる。選手も、平気でラフに入ったボールが打ちやすいように草を抜いたりする。こんな甘やかされた環境にいたのでは、ルールに厳しい海外で勝てるわけがない。ただし、国内トーナメントもようやく国際標準に近づいている。海外で活躍できるプロも出てくるのでは期待している。

 後の問題は、喫煙であろう。テレビ中継で、日本人トッププロが、よくタバコを吸いながらプレーしている様子が映し出される。ゴルフは緊張した場面で、微妙なタッチが要求される。タバコを吸ったのでは、手先の毛細血管が酸素不足になる。ミスショットが出るのは当たり前である。まわりのプロに誘われるであろうが、石川プロには、成人になっても喫煙には手を出さないでほしい。それが世界のトッププレーヤーになる要件のひとつである。

2009年10月12日月曜日

地球温暖化

 地球温暖化が世界的な問題としてクローズアップされている。その元凶として二酸化炭素(CO2)に焦点があてられ、その排出量を規制しようという動きがある。新政権の鳩山首相が1990年比で25%削減を約束したことで、賛否両論が渦巻いている。

 しかし、地球温暖化の本質をどれだけ多くのひとが理解して議論しているだろうか。実は、専門家でさえも、その本質を見抜くのは非常に難しい。なぜなら、地球規模で起きている現象の検証実験ができないからである。

 根本的な問題を、まず整理してみよう。地球には太陽エネルギーが降り注いでいる。そのおかげで、温暖な地球環境が保たれる。その平均温度がH2Oという物質が液体(水)として存在しうる範囲に保たれ、その結果、多様な生物群が存在しているのである。これは、ある意味、奇跡というしかない。

 ところで、太陽エネルギーを地球が受けるだけならば、その温度はあっという間に上昇し、灼熱地獄になるであろう。しかし、地球は太陽から受け取った熱エネルギーを、うまく宇宙に放出することでバランスを保っている。

 二酸化炭素は、熱エネルギーに相当する電磁波(赤外線)を自身に貯め込むという性質がある。科学的に言えば、赤外線を吸収できる分子構造になっている。そのため、宇宙に放出されるべき熱エネルギーが地球に留まる。これが、地球温暖化の原因である(と言われている)。

 しかし、ここにひとつ問題がある。赤外線の吸収スペクトルを調べると、二酸化炭素よりも水蒸気のほうが、はるかに赤外線を吸収することが分かっているのである。つまり、水蒸気はCO2よりも強烈な温暖効果ガスなのである。

 現在の報告では、水蒸気による温暖化の見積もりは難しいという理由で、その影響をまったく無視してCO2にだけ焦点があてられている。いわば、さんざん砂糖で甘くした水に、少し果汁を加えたら甘くなるかどうかを議論しているようなものなのである。本当に科学的な議論をするならば、この事実を忘れてはならないであろう。

2009年10月11日日曜日

越前クラゲ

 越前クラゲが大繁殖し、日本海岸だけではなく太平洋岸の漁獲にも大変な悪影響を与えている。どうして、こんなに繁殖したのだろうか。実は、その発祥地は東シナ海と言われている。

 東シナ海の心臓部にあるのが渤海湾である。航空写真を見ると明らかであるが、この湾の汚染が急速に進んでいるのである。写真には毒々しく変色した海が見える。中国本土の河川汚染が海に流れ込み、海外が富栄養化しているのである。その結果、クラゲが大繁殖しているらしいのだ。

 中国の経済発展はすざましい。当然、大量の水を使用する。残念ながら、日本ほど中国の水処理技術は進んでいない。もともと、汚れたものは捨ててしまえば、自然がきれいにしてくれると考えているひとが多い。かつての日本もそうだった。しかし、経済活動が進めば、自然の浄化能力はオーバーフローしてしまう。道理である。内陸で生活している人間には理解できないのだろうが。

 大量発生したクラゲは半年ほどで巨大化し、海流にのって日本海、そして対馬海峡を通って太平洋岸にも押し寄せる。迷惑を蒙っているのは日本だけであるので、国際的な関心も低い。どうしようもないのである。

 この事態を危惧したグループが、渤海湾を浄化するプロジェクトを国に提案したという。ところが役人に一蹴されたそうである。なぜ、日本の金を使って、他人の海をきれいにする必要があるのかと。

2009年10月10日土曜日

ダム建設の愚

 民主党政権になって、前原国土交通大臣がダム事業をすべて見直すと宣言した。大変な英断と思うが、彼の身が心配である。なにしろ、ダム事業は闇の利権のオンパレードである。裏社会とも密接な関係にある。甘い汁が吸えなくなる連中にとっては死活問題であろう。たとえ、非合法的な排除であっても辞さないのではないか。

 ダムをつくるには地元の理解が必要となる。土地の買収も大変だ。このため、ダム建設の予算の約10%が、裏工作に使われると言われている。4000億円の予算であれば、400億円もの金が使われることになる。ハイエナのように、この裏金に群がる連中が出てくる。

 ダム建設を役所が決めれば、とにかく建設を進めることが第一義となる。障壁はできるだけ排除しなければならない。建設推進が正義であり、すべてに優先される。反対派や土地持ちを説得するために、いくら金をかけてもいい。そんな雰囲気が蔓延する。その甘い汁に、当然政治家も群がってくる。

 みんなで寄ってたかって金をしゃぶりつくす。それがダム建設という公共事業の実態である。どうせ、金の出所は税金である。自分の懐が痛むわけではない。地元の人間、政治家、官僚、暴力団、すべてが恩恵にあずかる。そんなおいしい事業を簡単に手放すわけにはいかない。これが本音である。

 まともな考えを持った人間がいれば、ダムが治水に役立たないことは明らかであろう。最近、北朝鮮がダムに水が溜まりすぎたと、韓国に無断で放水し、人的被害が発生した。降雨量が一定以上になればダムは決壊する。治水どころか、大量の水を放流せざるをえないのである。