2009年11月30日月曜日

ドバイショック

 ついに噂されていた心配事が現実のものとなった。ドバイの金融破たんである。サブプライムローン問題から、中東の国にも、いずれ金融問題は降りかかると言われていた。それが現実のものとなったのである。

 その結果、なぜか円が急騰している。収入が40兆円に満たない国にも関わらず、90兆円を越すような予算を組んでいるのが日本である。そんな国に信用があるわけがない。それにも関わらず、円が急騰しているのは、ユーロやドルがドバイに多額の投資をしていたからである。

 とは言っても、日本経済も中東にかなり依存している。円だけが高騰しているのは、何か解せない。国際マーケットで何が起こっているか。それを見極める必要がある。それにつけてもグローバルな視点で物事を判断することが、いかに大切かが今回の事件で分かる。日本の現状を見ただけでは、円の高騰は説明できない。

2009年11月28日土曜日

世界二ではなぜだめなのか

 スーパーコンピュータ予算が事業仕分けで見送りとなったことで大騒ぎとなっている。歴代のノーベル賞受賞者も仕分けを批判している。そこで、話題になったことが世界一を目指すことの意義であろう。蓮舫議員の「なぜ世界二ではいけないのか」という質問が、科学者の逆鱗に触れたのかもしれない。

 科学者の一致した意見は、科学の世界では世界一を目指すことに意義があるということである。しかし、これは、世界一という言葉の解釈にも問題がある。科学の世界では、世界一ではなく、世界初が意義があるとされている。新しい原理、新しい理論、新しい材料など、誰が最初に発見したかが、科学の世界ではすべてとなる。栄誉は、すべて、この世界初の科学者に与えられ、二番手にはいっさいの栄誉は与えられない。

 ところが、仕分け作業で注目されている世界一は、コンピュータの演算速度である。その計算速度を競うことに、どれだけの科学的意義があるのだろうか。世界一になっても、すぐに追い抜かれる。

 ましてや、コンピュータは、そのままでは、ただの箱であり、そこにソフトが加わってはじめて意味が出る。コンピュータに何をやらせるかが大事であり、計算が速いだけではあまり意味がないのである。

 蓮舫議員が聞きたかったのは、この問題であろう。ところが、多くの科学者は世界二に敏感に反応した。面白いことに、日本のグループが3800万円の予算で日本一演算速度が速いコンピュータを開発したというニュースが流れた。計算を速くするだけなら、市販のパソコンを並列につなげるだけで十分なのである。1000億円の金をつぎ込む必要などない。

 むしろ、予算カットで問題になるのは、若手研究者の雇用の問題であろう。文科省の失政で、フリーターの博士が異常に増えている。その雇用をいかに確保するかが課題となっている。科学予算が削られると、これら雇用が守られなくなる。それこそ、多額の予算を投資して育ててきた日本の頭脳が、ムダになる。それこそが問題であろう。

2009年11月21日土曜日

おねだり科学者集団

 いろいろな所で報道されているので、ご存知の方も多いと思うが、ここでは毎日新聞の記事を引用してみよう。

 行政刷新会議の事業仕分けで、「来年度予算は見送りを含む削減」を断じられた「次世代スーパーコンピュータ開発」について、大学教授らで組織された「計算基礎科学コンソーシアム」(代表=宇川彰・筑波大学副学長)はこのほど、同開発を「迅速かつ着実に推進することが極めて重要でここに強く訴える」などと、開発継続を求める緊急声明を発表した。

 同開発で事業仕分けが出した結論に対し、「見送りに限りなく近い縮減。今回の唐突な結論は、我が国の科学技術の進歩を著しく阻害し国益を大きく損なう」と、不適切な判断だと批判している。

 同コンソーシアムは「スパコンは、現代の科学技術全体において主要な位置を占めている」としたうえで、「国民生活につながる最先端の技術開発では、スパコンを使ったシミュレーションが、国際競争力における主要な武器になっている」と、同開発が基礎科学の研究の遅延など、影響は大きいと訴えている。

 ブログでも書いたが、いまのスーパーコンピュータ開発には問題が多すぎる。その証拠に、内容に詳しい計算機科学の第一人者である金田康正・東京大学教授が、仕分け人として、スパコン予算削減に賛成する立場に回った。理由のひとつは、同開発に関係するスパコン御三家のうち、NECと日立製作所が撤退したこともある。

 日本が世界一の演算速度を誇ったのはNECの地球シミュレータである。その企業が撤退した背景を推して知るべきであろう。神戸に大きな箱物をつくり、巨額の無駄金をつぎ込む。1500億円あれば、もっと建設的な科学振興策はとれるはずである。 

 これだけの巨費が投じられれば、当然、利権が生じる。そのオコボレに預かれると思っていた科学者は、科学技術立国を錦の御旗にして利権を守ろうとする。ダム建設に寄生虫のように群がる連中と変わりはない。

2009年11月15日日曜日

国立女性教育会館

 事業仕分けで、民主党の蓮舫議員と言い合いになってテレビで繰り返し放映され有名になったのが、国立女性教育会館である。女性教育の振興を図り、男女共同参画社会の形成に資することを目的として設立された組織とある。

 蓮舫議員に対し、理事長の神田道子氏は、「なぜいま女性教育なのか」を説明させてほしいと訴えていた。しかし、時間は限られている。それに、女性教育の必要性を否定するひとはいないだろう。この組織の問題は、そのために巨大な箱物を建設しているという点である。女性教育は、箱物に巨額の予算をつぎこむよりは、より実質的なものに使ったほうがはるかに効率的である。

 この組織は埼玉県に位置し、テニスコートやプールに宿泊施設まである。こんな設備が女性教育に必要なのかと、以前から問題視されていた。女性研究者からも、不必要な箱物と指摘する声が多かった組織である。

 しかも、蓮舫議員が指摘したように、立派な宿泊施設を持っているが、稼働率が低いうえ、女性教育のための機関といいながら、一般にも格安の宿泊料で提供している。ただし、場所が不便なうえに、宿に使えると表立って宣伝もできないため、結局、赤字の垂れ流しとなっている。

 真の男女共同参画や女性教育をめざすならば、箱物ではなく、より教育を実質化する事業に投資すべきである。あの場に引きずり出された理事長に責任はないが、文科省として発想の転換が必要であろう。

スーパーコンピュータ

 政府の事業仕分けチームが、理化学研究所の世界一の演算速度を目指したスーパーコンピュータ開発を事実上ムダと位置づけたことが大騒ぎとなっている。日本の科学技術が大きな遅れをとると危惧する声もある。所長の野依氏も怒っていると報道されている。

 ただし、世界一はやいコンピュータができなければ日本が世界に遅れをとるという心配は、まったく意味がない。いま、世界一の座を獲得しているのはアメリカであるが、それ以外のヨーロッパやアジアの国の科学技術が遅れをとっているかと問えば明らかであろう。
むしろ、アジア圏など元気がある。

 それに、日本の威信というが、世界一の座を誇っていたのはNECの地球シミュレータであり、オールジャパンの技術ではない。それを、理化学研究所という国の機関に1000億円以上の予算をつけて開発させるということ自体、胡散臭い。だまって、NECにやらせればいいのである。

 役人が口を出したとたんに頓挫するというのが、多くの事業である。スーパーコンピュータ開発も同様である。理化学研究所が音頭をとって、NEC、日立、富士通の合同チームで開発するというのは聞こえはいいが、実は呉越同舟である。

 コンピュータ開発では、それぞれの企業がノウハウを持っている。NECはベクトル方式、富士通はスカラー方式という方法を採用している。今回は、これら水と油の関係にあるものをごっちゃまぜにして、言葉では「世界初のハイブリッド方式」などと呼んでいるが、明らかに役人の発想である。

 しかも、企業を巨大プロジェクトの責任者に据えておけば、開発費が足りなくなったら、自腹を切ってでも開発をやりとげるはずという魂胆もみえみえである。結局、NECと日立は撤退することを決めた。

 さらに、NECが世界一はやいコンピュータを開発したからと言って、みんながスーパーコンピュータをNECに発注するわけではない。プロジェクトごとに異なり、東大は日立製を使っている。世界一にならなくとも、演算処理にさほど支障はないのである。したがって、科学技術が遅れるというのは役人言葉でしかない。それにだまされたマスコミがはやしたてているだけである。

 次世代スーパーコンピュータ開発には、すでに巨額の予算が投じられているが、理化学研究所に巨額の予算を渡すという文部科学省の失策のために、めどが立っていない。ダムなどの公共工事と構図は同じなのである。

2009年11月14日土曜日

再生可能エネルギー

 再生可能エネルギーは英語のrenewable energyの和訳である。しかし、再生可能という言葉は少しニュアンスが違うような気がする。自然に再生される資源をエネルギー源として使うという意味であるが、果たしてそうだろうか。

 再生可能エネルギーの反対語は枯渇性エネルギーで、石油、石炭などの化石エネルギーのように資源として限られたものを指す。その対義語として再生可能エネルギーがあると考えたほうが分かりやすいかもしれない。

 人類は古くから再生可能エネルギーを利用してきている。オランダで有名な風車や、日本でもなじみの水車などが、それにあたる。電気が通っていない山奥では、小型風力発電で電源をとっていた。「北の国から」で主人公の純が裸電球を灯して感激した瞬間を覚えているひとも多いだろう。

 しかし、エネルギーは大量かついっきにつくったほうが効率的である。このため、世界各所で大型発電所が建設された。最初は、水力発電が主流であったが、それが火力、原子力へと変わっていった。そして、電力網も整備され、われわれは、その恩恵に預かっている。

 ところで、水力発電は、再生可能エネルギーのひとつと言われているのに、なぜ、枯渇性エネルギーの火力発電や原子力発電へと変わったのだろうか。その理由のひとつは、ダムは使っているうちに土砂で埋まってしまい、発電能力が低下することである。巨額の費用で建設しても、それが使えなくなるのでは、費用対効果が低くなる。

 いま、再生可能エネルギーとしてもてはやされている風力についても、この点を検討する必要がある。その建設には巨額の予算が使われるが、台風で破壊され放置された無残な姿を見たことがある。時々刻々と変わる風の向きや強さに対応するのは難しいし、発電機そのものの寿命も必ずやってくる。
エネルギー問題については、長期的な視野にたった対応が重要である。

2009年11月11日水曜日

オープンキャンパス

 いまや日本の大学ではオープンキャンパス花盛りである。大学を受験生や親に公開することで、その良さを知ってもらおうということであろう。しかし、キャンパスによっては逆効果になるので、大学がすべてのキャンパスを見せているわけではない。

 このため入ってみたら、環境が全然違っていた。こんなきたないとは思っていなかったというような不満の声も学生から聞こえる。大学だけではない。企業も似たようなところがある。いずれ、宣伝文句はすべて鵜呑みにしてはいけないということだろう。

 ところで、オープンキャンパスという言葉は英語ではない。完全な和製英語である。誰が最初に使い出したのか分からないが、学問を教える大学が、率先して間違った英語を使うのはどうかという意見もある。あえて英語にすれば、campus open to publicが正しいだろう。

 最近、海外サイトを見ていたらOpen campusというのがヒットして驚いた。どうやら、新しい形式の大学で、大学に通わずに海外のひとでも学位をとれるものらしい。いわば、通信教育である。日本にも放送大学やデジタルハリウッド大学などが相当するのだろうか。

 いずれ、オープンキャンパスと堂々と間違った英語を標榜するのは、やはり大学としては慎むべきかもしれない。もともとオープンキャンパスという制度は日本にしかないので、和製英語でいいじゃないかという確信犯もいるが。

2009年11月10日火曜日

事業仕分け

 行政刷新会議が予算の無駄を洗い出す作業を「事業仕分け」と呼んでいる。いまいちピンとこない表現である。いままで聖域とされてきた「思いやり予算」やODAにも手をつけると意気込んでいるが、もともと概算要求は95兆円にも達する。事業仕分けでたった3兆円削ったぐらいでは、なんの足しにもならない。

 そもそも、ある事業だけに無駄があるのではなく、すべての事業に無駄がある。それを認識する必要がある。仕分けてしまったら、いままで無駄を放置してきた事業は、そのまま生き残ることになる。

 もちろんマンパワーが足りないことはよく分かる。であれば、民主党は、発想を変えて、マスコミや一般人を利用することを考えたほうがよい。すでに、多くの無駄は報道ずみである。それを変えるだけで大変な節約になる。

 もうひとつは、内部告発であろう。匿名で無駄撲滅キャンペーンをはり、公益法人の職員から意見を聞けばよい。実は、彼らは安い給料でこき使われている場合が多い。その上前をはねている連中が天下りである。腰掛けで数年いて、巨額の退職金をせしめていく。その実情を知っているのは現場の職員たちだ。

 前にも紹介したが、ある公益法人で暇をもてあました天下りの常務理事が午後にこっそり職場を抜け出しパチンコをしていた。これを告発した嘱託職員の女性が解雇されてしまったことがある。民主党政権になったら、こんな暴挙を許さない。その信念が必要である。

 ただし、職場に出てくるだけまして、いっさい顔を出さずに給料だけもらっている天下りも多いので、こちらを辞めさせるのが優先事項かもしれない。

2009年11月9日月曜日

オール電化

 電力会社が推進している施策でよく分からないものにオール電化がある。消費者にはガスを使うのに比べて、基本料金が一本化できるうえ、トータルの光熱費も安くなるというメリットを訴えたり、あるいは、夜間電力を使ってお湯を沸かすのでエコだと宣伝しているようだ。

 しかし、ガスは直接熱エネルギーに変換しているのに対し、電気は石油や原子力によって熱エネルギーを経由して電気エネルギーに変換されている。エネルギー効率という点では、あまりエコとはいえないのである。お湯を電気で沸かすときにかかる時間を思い出してほしい。

 電力会社は、電気使用量が最も高くなるピーク(季節と時間)に合わせて電力設備を整備している。電気の発電量は簡単には調整できないので、ピーク以外のときは、余剰電力を垂れ流していることになる。オール電化などにしたら、ピークの電気使用量は、いまよりも確実に大きくなるはずである。この点を考えれば、電力会社にとってもメリットがあるとは思えない。

 つぎに、エネルギーセキュリティの問題がある。ひとつのエネルギー源に頼っていると、それが絶たれたときのダメージは計り知れない。台風や地震などの災害後の復旧は電気がはやいというが、かつて、送電線が運搬船に切られて、東京の下町全体がゴーストタウンになったことを覚えているであろうか。復旧にも相当の時間を要した。

 エネルギー源は、できるだけ複数にし、かつ分散させて設置するのが懸命である。したがって、オール電化ではなく、ガスや電気、あるいは別のエネルギー源をバランスよく使用するのが賢い方法である。それにしても、なぜオール電化なのだろう。

2009年11月8日日曜日

プルサーマル

 11月5日、九州電力がプルサーマルの試運転を始めたというニュースが流れた。他の電力会社も追随する予定と聞く。これに対し、安全性が十分確認されていないとして、反対派が反発を強めている。

 プルサーマルとは、プルトニウム(plutonium)とサーマルリアクター(thermal reactor)の頭のプルとサーマルを勝手に合成した和製英語である。よって、海外のひとには通じない。さらに、サーマルリアクターとは本来は熱反応器の意味であるが、原子力関係者では軽水炉(light water reactor)のことを指している。

 世界の原子力発電の多くは軽水炉を使用しているので、サーマルリアクターと言えば、軽水炉を指すことになったようだ。軽水とは普通の水のことで、これで原子炉を冷やすとともに中性子を減速させているので軽水炉と呼んでいる。これに対し、重水素(原子量1の水素の同素体で原子量が2と大きい)からなる水を重水と呼び、これで原子炉の冷却と中性子の減速をさせているものを重水炉(heavy water reactor)と呼んでいる。

 原子炉は、ウラン(uranium)を燃料にしている。ウラン(U)には質量数が238と235の2種類があり、U235が核分裂して放射能を出す。普段は、核分裂はゆっくり進むが、中性子をあてると、核分裂が加速される。さらに、この核分裂によって中性子が放出されるので、さらに核分裂が促進される。これを連鎖反応と呼ぶ。これを放置しておけば、反応はいっきに進み大爆発が起きる。これが原子力爆弾の原理である。この中性子を減速させ、ゆっくり反応させることで電力をつくりだしているのが原子力発電である。

 ところで、天然ウランにはU238の方がはるかに多い。U235の含有量はわずか0.72%で1%に満たない。軽水炉では、中性子の減速が大きいので、天然ウランをそのまま燃料にはできず、U235の濃度を高めた濃縮ウランを使っている。一方、重水炉では、中性子の減速が小さいので、天然ウランをそのまま燃料に使えるという利点がある。

 それでは、なぜ重水炉が普及しないかというと、重水が水に含まれる量はわずか0.016%であり、それを取り出すのに手間とコストがかかるからである。結局、軽水を使うほうが簡単で低コストということで、軽水炉が普及しているのである。

 ところで、U235の濃縮には、質量差を利用した遠心分離が使われる。テレビニュースなどで、原子力開発で遠心分離機が話題になるのは、この濃縮する技術があるかどうかが鍵となるからである。

 とこで、天然ウランは資源として限られている。いずれ枯渇するであろう。ここで、登場するのがプルトニウムである。原子力発電でウランを燃やすと、プルトニウムができる。しかも、プルトニウムは核分裂するので、燃料として再利用することができる。それがプルサーマル計画である。

 ただし、この計画に反対する人たちは、濃縮ウランを燃料として設計されている軽水炉にプルトニウムを燃料として使って安全かどうかという点を問題にしている。これに対し、電力各社は安全性に問題はないと主張している。

 原子力発電をエネルギー源として、今後も使い続けるならばプルサーマルは必須の技術となる。ただし、不確定要素もある。いまの生活水準を続けるのか、それとも質素な生活で我慢するのか、結局は、この選択を迫られているのである。

2009年11月7日土曜日

高速道路無料化

 民主党の高速道路無料化に対して非難が集まっている。一度、導入した制度を覆すのはつくづく難しいと思う。

 もともと、高速道路は無料になることが前提で建設されている。世界的に見ても、これだけ高速料金が高いのは日本だけである。おかげで物流コストが高くなり、競争力が失われている。それが民主党の考えだ。しかも、高速道路は国土交通背省の役人の天下りの温床になっており、税金がムダに使われている元凶だ。

 地方では、高速道路はがら空きで、そのそばを通っている国道を、大型トラックが猛スピードで走っている。おかげで、通学路は危険このうえないし、国道はすぐにがたがたとなり、修理代も高くつく。

 高速道路無料化は多くのひとが歓迎すると思っていたら、大反対の嵐である。まず、道路関係者。自分たちの食い扶持がなくなるのだから反対は当たり前であろう。次は、鉄道などの他の輸送機関の関係者。ライバルだから反対は当然かもしれない。

 しかし、驚いたことに、この政策で恩恵を受けるはずのドライバーや運送会社の関係者からも反対の声が聞こえてくる。いわく、交通量が増えてCO2排出量が多くなる。道路が渋滞して配達が遅れるなどなど。もちろん、海外でも交通渋滞が予想される道路では、高速料金を課している。対策はいくらでも打てるはずだ。

 悪い制度であっても一度定着してしまうと、そこに新たな利権が生まれる。それを変えるのは並大抵ではないということであろう。

2009年11月1日日曜日

タバコ税

 民主党がタバコ税の値上げを検討しているという。自民党では、なかなか手をつけられなかった聖域だ。先進国のなかで、これだけ喫煙が自由という国は日本ぐらいであろう。外に食事にいくと、喫煙者が堂々とタバコを吸っている。海外では考えられない。

 なぜ、自民党では難しいかというと、タバコ農家やタバコ販売業者などが自民党の支援団体であったからだ。そのため、自民党の会合では、必ず灰皿が置かれていた。支持者に気を使っているためだ。しかし、いまどき会議でタバコを吸えるというのは、ワンマン企業で社長が喫煙者の会社ぐらいだろう。

 とは言え、会議が禁煙になったのは、ごく最近のことである。そういえば、二年前にNHKの出演者控え室に入ったら、平気で喫煙しているのに閉口したことを覚えている。最近、ようやく分煙にしたようだ。親方日の丸の組織は、おしなべて喫煙に寛容なところが多い。

 日本が喫煙天国になったのは、税金と戦争が原因らしい。まず、タバコ税欲しさにタバコの販売を国直轄の専売製にして税金を掠め取ろうとしたのが最初である。つぎは、第二次世界大戦のときに、軍人への配給品としてタバコを配った。戦意高揚という意味があったようだが、ニコチン中毒患者が肝心の場面では力が出せないというのは証明つきである。

 百害あって一利なしのタバコが、他の先進国なみに規制されるのを期待している。もちろん、喫煙者の自由を奪うつもりは毛頭ない。非喫煙者に間接喫煙をさせないようにして欲しいだけである。