2010年4月29日木曜日

ジェトロ

ジェトロの海外事務所への現役官僚出向を禁じた仕分け人に、経産省の副大臣がかみついた。海外赴任は官僚にとって、よい研修の場となっているというのである。人材育成の一環と言いたかったのだろうが、仕分け人から、ジェトロは研修所ではないと逆に攻撃されていた。情けない。

 経済産業省から現役官僚がジェトロの海外事務所に出向になると骨休めができる。仕事はほとんどなく、現地のパーティーに出たり、日本から海外出張してくる役人や政治家の接待役をつとめている。

 私も、3度ほど接待を受けた。日本では考えられないようなプール着きの高級マンションに住まわせてもらってありがたいと言っていた。海外赴任を認めてくれた上司に感謝しているとも。接待費も使い放題と言っていた。逆に、せっせと使わないと来年度減らされるのだという。ワシントンでは、高級和食店に案内され、高級寿司と大吟醸をさんざんご馳走になった。アメリカなのに、そこは、まさに日本であった。

 日本に帰ったら、またハードな毎日が待っていると憂鬱そうだった。ジェトロへの出向は、本人にとってはいい休暇なのだろう。サンフランシスコの高級フレンチレストランで美味しいディナーとワインをご馳走になりながら、これも税金だよなと複雑な気分であった。やはり、安くとも自腹で飲み食いしたほうがトーマスは気が楽である。どうやら役人には向いていない。

2010年4月25日日曜日

国際協力機構の闇

 事業仕分けで、国際協力機構(JICA)がやり玉に上がった。海外出張を原則エコノミーにすることで、8億円を節約したと外務副大臣が報告したのに対し、仕分け人から、もともとの出張旅費が110億円以上あるのに、計算があわないと指摘され、返答に窮する場面があった。

 実は、エコノミークラスに格下げされたのはJICAの出張で出かける民間企業のひとたちである。JICAは、自分たちでは何もできないので、多くの事業を民間に頼っている。ひとりで足りる出張にも、多くの職員が随行する。

 ある民間企業人は、海外出張で必要なのは、2時間の会議参加だけなのだから、日帰り出張かつエコノミークラス利用を強要されたという。しかも、メインの参加者は彼ひとりで十分なはずだが、JICAの職員が3人随行し、彼らはビジネスクラスで出張し、しかも豪華ホテルに3泊もしたらしい。

電気自動車はエコ?

 いま、電気自動車が大きな注目を集めている。まったくCO2を放出しない究極のエコ自動車という触れ込みである。その開発競争のために、自動車業界の再編も始まっている。ガソリン自動車からハイブリッドへ、そして究極の電気自動車へという変革が世界の潮流と言われており、多くの自動車メーカーも開発を急ピッチで進めている。

 しかし、ハイブリッドから電気自動車への転換は、コペルニクス転回と呼べるくらいの大転換ということに注視すべきであろう。なぜか。それはガソリンを使わないということが、自動車の使い方を根本から変えるという事実である。

 携帯電話を使っていれば分かるが、どんなに高性能電池であっても長時間は持たない。結局、夜寝ている間に充電して次の日に備える。うっかり充電を忘れると、次の日はすぐに携帯が使えなくなる。コンビニに電池式の充電器が売ってあるので急場はしのげるが、自動車ではそうはいかない。

 もし電池が空になれば、巨大な金属の塊を放置するしかない。ガソリンであれば数分で満タンにできるが、電池ではチャージに長時間かかる。ガソリンスタンドの代わりの電池スタンドは長蛇の列になるであろう。それに、充電のためにスタンドで数時間も待たされたのではたまらない。

 これに対し、電気自動車は自宅で充電できるから、夜をかけて充電しておけばよいとか、電池スタンドに、充電された電池を置いて、電池ごと交換すればよいという提案もある。しかし、電池は放置しておけば放電してしまう。そんなに大容量の電池をストックしておくことはできない。

 ハイブリッド車はガソリンと併用しているので、いざとなったらガソリンが使える。それが大きな違いである。さらに、電気はエコと言うが、それは電池で走っている間だけの話である。電池の製造や電気を発電する際に発生する大量のCO2や、すぐに消耗してしまう電池の寿命のことが考慮されていない。