2010年6月27日日曜日

消費税

 消費税論議が活発化している。菅新首相の消費税10%発言が、物議をかもしており、参議院選挙の争点になるとも言われている。彼が言っているのは、消費税導入議論を始めるということだけで、消費税導入の際には、総選挙を行って国民の信を問うとまで発言しているのであるが、マスコミの論調は、菅内閣はすぐにも消費税を上げるということになってしまっている。

 自民党以外の野党は、消費税けしからんの一辺倒である。選挙で増税を打ち出したリーダーは、必ず敗北するという過去のジンクスから、民主党にも造反者が出始めている。一般的な考えとしては、無駄を徹底的に省く、国会議員と公務員のリストラをする、このような行政のスリム化のあとで、消費税増税を論ずるべきということであろう。実は、この考えは、野党時代の民主党の主張でもある。

 確かに、無駄な予算はやまのようにある。事業仕分けでも、その一端はあぶりだされている。しかし、仕分けだけで、本当の無駄を払拭するのは難しい。時間をかけて、ひとつひとつ精査するしかない。

 問題は、各官庁の情報操作であろう。マスコミを利用して、国民の目をごまかしている。役に立たないどころか、害を及ぼす天下りはやまのようにある。しかし、それは、なかなか表に出てこない。ノーベル賞受賞者が勢ぞろいして、科学予算削減に反対したが、彼らも自分達の利権を侵されるのを阻止しようとしているだけである。内情を知っていれば、無駄が多いし、なにしろ、将来を明るくする予算の使われ方をしていない。

 ただし、事業仕分けで無駄を根絶するのは、かなり難しく長時間を要する。さらに、それで節約できる金額に限りがあるのも事実である。なにしろ、税収は37兆円しかないのである。それで91兆円の予算を組むこと自体が明らかな間違いであろう。常識的には、その差を埋めることは難しい。

 世界の常識から見れば、高福祉を要求するのであれば、税負担を重くするのは当然である。そのための財源として、消費税をあてるのも当たり前である。安定財源として見込めるのは消費税しかないからだ。

 ところが、日本では、福祉を充実しろ、でも税は払いたくないというのが民意となっている。北欧で消費税や所得税が高いにもかかわらず、国民の満足度が高いのは、福祉が充実しているからである。安心があれば、ある程度の負担はいとわない。日本においても、このような議論が必要であろう。

2010年5月15日土曜日

普天間問題

 鳩山首相のぶれつづける発言で、民主党の人気ががた落ちの原因となっている普天間基地移転問題であるが、必ずしも、悪いことばかりではなさそうだ。まず、日本に本当に米軍基地が必要なのか。そして、基地のあることが、抑止力になるのかどうかの根本問題が議論されるようになったからだ。

 日本の自衛隊には、抑止力はないと言うが、かつては世界第二位の軍事力と言われていたほど巨大である。その数もアメリカ海兵隊に比べれば、はるかに大きい。敵国を攻撃することはできないから、自衛隊には抑止力がないというが、日本を守るという国防の立場に立てば、その存在は非常に大きい。

 逆に言えば、わずか800名のアメリカ海兵隊の存在意義はほとんどないであろう。そもそも、海兵隊は、海外に滞在している自国のVIPや国民を守るのが使命であり、その規則によれば、日本国民を守るという任務はないらしい。

 軍事費をどれだけ節約できるかは、世界各国の課題であり、アメリカも多くの基地を縮小している。日本に居続けるのは、日本が拠出している2000億円を超えるおもいやり予算のおかげである。もし、その金がカットされたら、即刻本国に引き上げるであろう。

 この予算削減の話が出始めたとたん、あれだけ強硬だったアメリカ要人の発言がやわらかくなった。もし、基地擁護派が言うように、自衛隊に抑止力がないのであれば、それこそ、自衛隊にかかる費用を削減すればよい。

2010年5月2日日曜日

ギリシャ破綻

 ギリシャの人口は1100万人程度で、日本の約1/10の規模である。今回、その国家財政が破綻し、世界的な問題となっている。ギリシャは、観光立国で有名な国である。その国民総生産の7割以上が観光に頼っているという。世界中から観光客が集まり、そのおかげで、国家財政が成り立っていたのである。

 何も生産していなくとも、その歴史や世界遺産、そしてエーゲ海などの自然を売り物にして国家が成り立っていたのであるから、ある一面では幸せだったのだろう。しかし、経済がおかしくなれば、ひとびとは節約する。観光旅行などの贅沢をカットするのが自然である。国家収入が急減するのは当たり前である。

 しかも観光に頼っているため、あまり働かなくとも収入がある。その結果、やたらと公務員が増え、その平均年収も高かったらしい。さらに、58歳から年金ももらえる。これでは、財政が破綻するのが当たり前である。

 イタリアにはふたつの国があると言われている。工業などの生産を頼りにしているミラノを中心とする北と、ナポリなど地中海の自然を売り物にした観光中心の南である。南では働かなくとも観光で食えるため、ゆったりとした時間が流れる。彼らはまったく時間を守らないと北のひとたちは怒っていた。ギリシャの破綻を聞いて、ふと、そのことを思い出した。

2010年4月29日木曜日

ジェトロ

ジェトロの海外事務所への現役官僚出向を禁じた仕分け人に、経産省の副大臣がかみついた。海外赴任は官僚にとって、よい研修の場となっているというのである。人材育成の一環と言いたかったのだろうが、仕分け人から、ジェトロは研修所ではないと逆に攻撃されていた。情けない。

 経済産業省から現役官僚がジェトロの海外事務所に出向になると骨休めができる。仕事はほとんどなく、現地のパーティーに出たり、日本から海外出張してくる役人や政治家の接待役をつとめている。

 私も、3度ほど接待を受けた。日本では考えられないようなプール着きの高級マンションに住まわせてもらってありがたいと言っていた。海外赴任を認めてくれた上司に感謝しているとも。接待費も使い放題と言っていた。逆に、せっせと使わないと来年度減らされるのだという。ワシントンでは、高級和食店に案内され、高級寿司と大吟醸をさんざんご馳走になった。アメリカなのに、そこは、まさに日本であった。

 日本に帰ったら、またハードな毎日が待っていると憂鬱そうだった。ジェトロへの出向は、本人にとってはいい休暇なのだろう。サンフランシスコの高級フレンチレストランで美味しいディナーとワインをご馳走になりながら、これも税金だよなと複雑な気分であった。やはり、安くとも自腹で飲み食いしたほうがトーマスは気が楽である。どうやら役人には向いていない。

2010年4月25日日曜日

国際協力機構の闇

 事業仕分けで、国際協力機構(JICA)がやり玉に上がった。海外出張を原則エコノミーにすることで、8億円を節約したと外務副大臣が報告したのに対し、仕分け人から、もともとの出張旅費が110億円以上あるのに、計算があわないと指摘され、返答に窮する場面があった。

 実は、エコノミークラスに格下げされたのはJICAの出張で出かける民間企業のひとたちである。JICAは、自分たちでは何もできないので、多くの事業を民間に頼っている。ひとりで足りる出張にも、多くの職員が随行する。

 ある民間企業人は、海外出張で必要なのは、2時間の会議参加だけなのだから、日帰り出張かつエコノミークラス利用を強要されたという。しかも、メインの参加者は彼ひとりで十分なはずだが、JICAの職員が3人随行し、彼らはビジネスクラスで出張し、しかも豪華ホテルに3泊もしたらしい。

電気自動車はエコ?

 いま、電気自動車が大きな注目を集めている。まったくCO2を放出しない究極のエコ自動車という触れ込みである。その開発競争のために、自動車業界の再編も始まっている。ガソリン自動車からハイブリッドへ、そして究極の電気自動車へという変革が世界の潮流と言われており、多くの自動車メーカーも開発を急ピッチで進めている。

 しかし、ハイブリッドから電気自動車への転換は、コペルニクス転回と呼べるくらいの大転換ということに注視すべきであろう。なぜか。それはガソリンを使わないということが、自動車の使い方を根本から変えるという事実である。

 携帯電話を使っていれば分かるが、どんなに高性能電池であっても長時間は持たない。結局、夜寝ている間に充電して次の日に備える。うっかり充電を忘れると、次の日はすぐに携帯が使えなくなる。コンビニに電池式の充電器が売ってあるので急場はしのげるが、自動車ではそうはいかない。

 もし電池が空になれば、巨大な金属の塊を放置するしかない。ガソリンであれば数分で満タンにできるが、電池ではチャージに長時間かかる。ガソリンスタンドの代わりの電池スタンドは長蛇の列になるであろう。それに、充電のためにスタンドで数時間も待たされたのではたまらない。

 これに対し、電気自動車は自宅で充電できるから、夜をかけて充電しておけばよいとか、電池スタンドに、充電された電池を置いて、電池ごと交換すればよいという提案もある。しかし、電池は放置しておけば放電してしまう。そんなに大容量の電池をストックしておくことはできない。

 ハイブリッド車はガソリンと併用しているので、いざとなったらガソリンが使える。それが大きな違いである。さらに、電気はエコと言うが、それは電池で走っている間だけの話である。電池の製造や電気を発電する際に発生する大量のCO2や、すぐに消耗してしまう電池の寿命のことが考慮されていない。

2010年3月14日日曜日

政治家の資質

 元官僚と飲む機会があった。そこで、話題になったのが政治家の資質である。最初はクリーンに見える政治家でも10年たてば利益誘導型の政治屋に変わるという。ただし、そういう政治家は官僚としては御しやすいという。地元の利益をえさにすれば、本来通したい法案に賛成してくれるからだ。

 えびで鯛をつるということかもしれない。しかし、えびも積もれば巨額の負債に膨れ上がる。それがいまの日本の実情ではないだろうか。

 いままでつきあった政治家でもっともダメと思ったのは誰かと聞いたら、鳩山邦夫という答えがすぐに返ってきた。政治家としての知恵も見識もないという。随行したハイヤーの中で、政治の話をそっちのけで、地元の議員とかけごとを始めたのには本当に驚いたと言っていた。普段の発言を聞いていれば納得できる。

 それでは、評価できる政治家は誰かと聞いたら、なんと与謝野馨と、大島理森という答えが返ってきた。驚きである。自民党の大島幹事長は、強持てで有名で、怖い顔のひとと揶揄されている。見るからに、党人型の政治家という印象であるが、このふたりは将来の日本を考えて仕事をしているというのである。

 ただし、与謝野さんの秘書は親分は選挙に弱いと嘆いていたらしい。多くの政治家は、支持者の前で臆面もなく土下座できるが、与謝野さんはそんなことをしないらしい。飲み会に出席しても、ビールをついでまわらないという。これでは選挙に勝てないというわけだ。これを聞くと、選ぶ側の国民にも責任がありそうだ。

 最後に、小沢一郎はどうかと聞いたら、彼は立派な政治家と即座に応えた。日米で膠着状態が続き、官僚も困っていた案件があったとき、彼が出ていって話を見事にまとめたというのである。このような官僚の本音を国民の前に引き出せば、政治も少し変わるのではなかろうか。