消費税論議が活発化している。菅新首相の消費税10%発言が、物議をかもしており、参議院選挙の争点になるとも言われている。彼が言っているのは、消費税導入議論を始めるということだけで、消費税導入の際には、総選挙を行って国民の信を問うとまで発言しているのであるが、マスコミの論調は、菅内閣はすぐにも消費税を上げるということになってしまっている。
自民党以外の野党は、消費税けしからんの一辺倒である。選挙で増税を打ち出したリーダーは、必ず敗北するという過去のジンクスから、民主党にも造反者が出始めている。一般的な考えとしては、無駄を徹底的に省く、国会議員と公務員のリストラをする、このような行政のスリム化のあとで、消費税増税を論ずるべきということであろう。実は、この考えは、野党時代の民主党の主張でもある。
確かに、無駄な予算はやまのようにある。事業仕分けでも、その一端はあぶりだされている。しかし、仕分けだけで、本当の無駄を払拭するのは難しい。時間をかけて、ひとつひとつ精査するしかない。
問題は、各官庁の情報操作であろう。マスコミを利用して、国民の目をごまかしている。役に立たないどころか、害を及ぼす天下りはやまのようにある。しかし、それは、なかなか表に出てこない。ノーベル賞受賞者が勢ぞろいして、科学予算削減に反対したが、彼らも自分達の利権を侵されるのを阻止しようとしているだけである。内情を知っていれば、無駄が多いし、なにしろ、将来を明るくする予算の使われ方をしていない。
ただし、事業仕分けで無駄を根絶するのは、かなり難しく長時間を要する。さらに、それで節約できる金額に限りがあるのも事実である。なにしろ、税収は37兆円しかないのである。それで91兆円の予算を組むこと自体が明らかな間違いであろう。常識的には、その差を埋めることは難しい。
世界の常識から見れば、高福祉を要求するのであれば、税負担を重くするのは当然である。そのための財源として、消費税をあてるのも当たり前である。安定財源として見込めるのは消費税しかないからだ。
ところが、日本では、福祉を充実しろ、でも税は払いたくないというのが民意となっている。北欧で消費税や所得税が高いにもかかわらず、国民の満足度が高いのは、福祉が充実しているからである。安心があれば、ある程度の負担はいとわない。日本においても、このような議論が必要であろう。
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