2009年6月8日月曜日

エコカー

 地球温暖化に対する関心が高まりを見せている。政府の補助金制度導入もあって、エコカーのひとつであるハイブリッドカーが大人気である。自動車メーカー間の競争も激化している。最近では、ライバル会社のホンダを意識したトヨタによる過激なCMが話題となった。

 ハイブリッドカーとは、化石燃料のガソリンと、巨大電池を組み合わせたものである。ガソリンで走行している間に電池に充電できるので、燃費が格段に改善できるうえ、CO2排出量も大幅に低減できる。トヨタは、自社開発車は、ホンダ車と違って、電池だけで走行できると喧伝している。

 しかし、ふと昔のことを思いだして複雑な思いにとらわれる。それは、電池が環境にやさしくないと騒がれて時代があったという事実である。確かに、電池を使っている間はCO2を排出しないが、寿命がきたら、電池は産業廃棄物となる。しかも、環境汚染物質を多く含んでいる。その処理をどうするのだろうか。さらに、電池をつくる過程で排出されるCO2のことは環境負荷としていっさい計算されていない。

 かつて、環境問題に厳しいカリフォルニア政府は、電池を積まない自動車の開発を促進していた。そのため、電池に変わるフライホイールなどの開発が活発化した時期があった。結局、便利な電池に変わる技術がないということで実現しなかったが、それが、いまでは重い巨大電池を積んだ自動車がエコカーとして重宝されている。

 さらに、重要なことは、もともと自動車は環境にやさしくないという基本を認識することである。自動車を使わずに、歩く、自転車を使う、最悪でも公共交通機関を使うという行動のほうが、エコカーを使うよりずっと環境にやさしいのである。

 燃費を考えるなら、軽自動車に乗るほうが、よほどエコである。排気量の大きいハイブリッドカーに乗って、自分はエコを考えているなどとはとても言えないはずである。

 しかし、やはり気になる。使えなくなった電池の処理は、誰が、どこで、どうするのだろうか。そして、そのコストは誰が負担するのだろうか。

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