2009年10月10日土曜日

ダム建設の愚

 民主党政権になって、前原国土交通大臣がダム事業をすべて見直すと宣言した。大変な英断と思うが、彼の身が心配である。なにしろ、ダム事業は闇の利権のオンパレードである。裏社会とも密接な関係にある。甘い汁が吸えなくなる連中にとっては死活問題であろう。たとえ、非合法的な排除であっても辞さないのではないか。

 ダムをつくるには地元の理解が必要となる。土地の買収も大変だ。このため、ダム建設の予算の約10%が、裏工作に使われると言われている。4000億円の予算であれば、400億円もの金が使われることになる。ハイエナのように、この裏金に群がる連中が出てくる。

 ダム建設を役所が決めれば、とにかく建設を進めることが第一義となる。障壁はできるだけ排除しなければならない。建設推進が正義であり、すべてに優先される。反対派や土地持ちを説得するために、いくら金をかけてもいい。そんな雰囲気が蔓延する。その甘い汁に、当然政治家も群がってくる。

 みんなで寄ってたかって金をしゃぶりつくす。それがダム建設という公共事業の実態である。どうせ、金の出所は税金である。自分の懐が痛むわけではない。地元の人間、政治家、官僚、暴力団、すべてが恩恵にあずかる。そんなおいしい事業を簡単に手放すわけにはいかない。これが本音である。

 まともな考えを持った人間がいれば、ダムが治水に役立たないことは明らかであろう。最近、北朝鮮がダムに水が溜まりすぎたと、韓国に無断で放水し、人的被害が発生した。降雨量が一定以上になればダムは決壊する。治水どころか、大量の水を放流せざるをえないのである。

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