2008年4月20日日曜日

大変だろうな

 人の皮膚から万能細胞の合成に成功したことで一躍世の中の脚光を浴びた京都大学の山中教授であるが、相当なプレッシャーだろうなと気の毒に思う。似たようなことを過去に経験しているのでよく分かる。

 世界に誇れる研究成果だということで、政府機関がこぞって予算をつけた。年度途中の異例の措置である。何とか、おこぼれに預かろうとする連中も擦り寄ってきて、いっきに巨大な組織を束ねることになった。

 いままでは、気心の知れた仲間で研究を進めることができたが、これからは有象無象の野心のかたまりのような連中とも伍していかなければならない。当然、足を引っ張るもの、抜け駆けするものも出てくる。

 さらにプレッシャーをかけるのは金を出した役人たちである。彼らは気が短い。多額の予算をつけたならば、翌日には成果が出ると思い込んでいる。しかし、研究環境を整備するだけで一年はかかる。それから研究にかかるのだ。本当の成果が出るのは、その先である。ところが、毎日のように「先生成果がでましたか」と聞いてくる。

 今回の研究が厳しいのは、不治の病に苦しんでいる患者や家族に希望を与えたことである。治療に利用するには、まだまだ数多くのハードルがある。近日中に成果が出なければ、バッシングに会う虞れもある。

 山中教授は、臨床医師であった。難病に苦しむ患者をみて、それを直したいという思いで、研究の道に進んだという。そんないい人をつぶしてはならない。健闘を祈るのみである。

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