トーマスがかつて働いていた研究所での話である。この研究所には、所管官庁から天下りが専務理事となって送られてきた。いずれ、役に立たない人間ばかりであったが、官庁に予算を握られているので、どうしようもない。
ある専務理事は、海外出張と称して、ファーストクラスと一流ホテルを使い、海外のお友達とゴルフ三昧の旅をしていた。本人は海外視察と称していたが、彼が海外に行ってもなんの意味はない。この手の海外旅行は、天下りが得意とするところである。
この専務理事、なにを思ったか、研究所の若手と飲み会を持った。そこで、滔々と世間は甘くないという話をしたらしい。専務のおごりだから仕方がないと若手は思って、くだらない話に我慢していたが、なんと、清算の段になって、この専務、今日は割り勘とのたもうた。ただ酒だったらしょうがないとバカな話を聞いていた連中も、ここで頭にきたらしいが、確かにおごるとは言われていない。渋々、みんなが飲み代を払った。
ところが、こっそり若手が見ていると、この専務は、店から領収書をもらっていたそうだ。そして、後日、若手との懇談と称して研究所にその金を請求したのだ。情けない。ただでさえ給料の安い連中の支払いをピンはねしたのである。
最近、官僚の不祥事がやまのように報道されている。しかし、その陰で、報道されない不正がいくらあるのだろうか。暗澹たる気持ちにならざるをえない。
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