2008年11月2日日曜日

バブルの教訓

バブル崩壊後、日本の経済はずたずたになった。多くの金融機関がつぶれ、日本発の世界恐慌のおそれまで外国から指摘された。

その理由のひとつは、経営陣による銀行の私物化である。情実融資など当たり前で、場合によっては、貸付金を還流させ自分の懐に入れるものも居た。何人かの経営者は逮捕されたが、見せしめやガス抜き程度のもので、逮捕されたものは「なぜ自分だけが」と思ったことだろう。不正を追求しようとしたトーマスの友人に大蔵省の役人がいたが、自殺をしてしまった。政治家や闇の社会とのもたれあいは想像以上のものであったのだろう。家族を皆殺しにすると脅されたのでは、自殺以外の道がなかったのかもしれない。

 その日本を責めた急先鋒のアメリカが壊滅状態にある。前に紹介したサブプライムローンが発端であるが、ふたを開けてみれば、金融機関のトップの腐敗が原因である。金を借りる能力のない人間に、いかに金を貸し続けるかがトップの腕の見せ所というのであるから、開いた口がふさがらない。

 しかし、アメリカは経営者の責任を問わずに、公費を注入することにした。一説によると、政府の中心人物が民間の金融機関の経営陣出身なので、経営者の責任を問う政策など打てないということらしい。自分が逮捕されてしまうからだ。

 いつの時代も、問題が起こったあとに明らかになることは、トップのモラル欠如である。日本では、いまだに食品偽装は続いている。世界的な経済危機で、それがいかにも矮小な問題のように扱われているのが少し心配だ。根は同じである。

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