ドイツの製薬会社のバイエルン社が、2007年6月に万能細胞に関する特許を日本の特許庁に申請していたことが分かった。
作製方法だけでなく、万能細胞そのものも特許として申請されているという。ニュースでは、特許として成立する可能性が高く、今後の特許紛争が予想されるとある。
実は、特許と研究論文は大きく異なる。研究では、自分で確かめた限定した事実しか書かないが、特許の場合には、有効と予想される内容はすべてクレームとして請求するのが常道である。
このため、研究者が書く特許と、特許の専門家がバックについている企業が手がける特許では大きく内容が異なることが多い。専門家はすべてを特許化しようとするからである。
京都大学の特許は、製法特許という。実は、特許の世界では製法特許は弱いというのが常識である。別な製法でものができれば回避できるからである。このため、ものそのものを特許化することが重要とされる。
詳細は定かではないが、気になるのは、バイエルンが万能細胞そのものを特許化している点である。ただし、万能細胞の臨床応用には20年かかるという予測もあり、本当に実用化される頃には、すべての特許の期限が切れている可能性もある。
特許紛争に振り回されるよりも、その応用研究に邁進するのが賢明なのかもしれない。
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