日本の多くの私立大学が資産運用に失敗して総額で700億円近い損失を出したことが報じられている。これは、アンケートに答えた大学のみの総計であるから、3月の決算時には、さらに損失額は膨らむのは必至と言われている。
大学には、入学金と授業料という現金が毎年入ってくる。それを寝かせておくのは愚の骨頂であり、うまく資金を動かして、そこから利益を得るのが賢い。そう言われ出したのは、いつ頃だったろうか。
バブル崩壊後のゼロ金利政策で、日本では銀行に預けてもほとんど利息がつかない。銀行に預ける意味がないと感じた大学は、自分達で資産運用を始めた。大学だけではない。地方自治体や公的組合でも資金のあるところは、運用に走った。
そのための失敗も多い。アルゼンチン債が紙くずになって、虎の子の資金をゼロにした組合が社会問題になったことを覚えているひともいるだろう。その教訓は生かされなかったようだ。
とは言っても日本だけを責められない。ハーバード大学では80億ドルの損失を出したという。なんと8000億円である。ハーバードのファンドマネージャーになることは一種のステータスであり、また、彼らが、資金運用で多大な実績を積み重ねてきたのも事実である。その超一流の専門家が失敗したのだから、日本の私立大学の火遊びを責めるのは酷であろう。
しかし、気になるのは、巷間よく言われる「高等数学を駆使した資産運用」という言葉である。高等数学を使ったからと言って、金儲けができるわけではない。
昔から相互作用のある3体以上の問題は、数学では厳密解を得ることができないことが知られている。太陽と地球の運動は解析できるが、月が介入したら計算不能となる。経済は、3体どころか、ものすごい数の因子が相互作用を及ぼしている。解けるわけがないのである。
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