2009年11月9日月曜日

オール電化

 電力会社が推進している施策でよく分からないものにオール電化がある。消費者にはガスを使うのに比べて、基本料金が一本化できるうえ、トータルの光熱費も安くなるというメリットを訴えたり、あるいは、夜間電力を使ってお湯を沸かすのでエコだと宣伝しているようだ。

 しかし、ガスは直接熱エネルギーに変換しているのに対し、電気は石油や原子力によって熱エネルギーを経由して電気エネルギーに変換されている。エネルギー効率という点では、あまりエコとはいえないのである。お湯を電気で沸かすときにかかる時間を思い出してほしい。

 電力会社は、電気使用量が最も高くなるピーク(季節と時間)に合わせて電力設備を整備している。電気の発電量は簡単には調整できないので、ピーク以外のときは、余剰電力を垂れ流していることになる。オール電化などにしたら、ピークの電気使用量は、いまよりも確実に大きくなるはずである。この点を考えれば、電力会社にとってもメリットがあるとは思えない。

 つぎに、エネルギーセキュリティの問題がある。ひとつのエネルギー源に頼っていると、それが絶たれたときのダメージは計り知れない。台風や地震などの災害後の復旧は電気がはやいというが、かつて、送電線が運搬船に切られて、東京の下町全体がゴーストタウンになったことを覚えているであろうか。復旧にも相当の時間を要した。

 エネルギー源は、できるだけ複数にし、かつ分散させて設置するのが懸命である。したがって、オール電化ではなく、ガスや電気、あるいは別のエネルギー源をバランスよく使用するのが賢い方法である。それにしても、なぜオール電化なのだろう。

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