法務省はテロ対策と称して、11月20日から日本に入国するほぼすべての外国人から指紋採取と顔写真撮影をする制度をはじめた。
この話を聞いて、30年ほど前にアメリカをはじめて訪れたときのことを思い出した。サンフランシスコ空港に到着すると、入国審査のゲートは長蛇の日本人であふれていた。何時間続くのだろうか。そんな思いにとらわれた。
当時は、海外旅行をするひとも、それほど多くはなかった時代である。それでも、アメリカに入国するために、何時間も待たされ、あげくに、ようやく順番が来たと思ったら取り調べのような質問ぜめで閉口したことを覚えている。正直ひどい国と思った。
今回の日本の措置に対して、怒りをあらわにする海外のひとも多い。人種差別と指摘する海外メディアも多い。特に、日本に長く住んでいる外国人には面白くないようだ。
その気持ちも分からなくはない。しかし、国の治安を守るためには、今回の方法は確かに有効である。法務大臣は、アルカイダの関係者が偽造パスポートで日本に潜入していると言ったが、今回の制度で不法侵入は阻止できる。
「郷に入らば郷にしたがえ」という俚諺がある。日本の制度と理解してもらうしかないだろう。アメリカの入国では不愉快な思いをしたが、その後、アメリカで暮らすうちに周りのひとたちの親切心や思いやりにふれ、アメリカがすっかり好きになった。入国したあとで、われわれ日本人が海外のひとをケアする。それしかないのかもしれない。
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