2009年10月23日金曜日

日本郵政社長人事

 日本郵政株式会社の新社長候補の斉藤次郎という名前を見て驚いた。これでは、民主党の支持率は確実に低下するだろう。過去官僚ということだけではない。かつて、小沢一郎と組んで、国民福祉税構想を練った張本人だからである。

 1994年、当時の首相の細川護煕(日本新党)が未明に突然、消費税を3%から7%に上げると発表した。用途は福祉目的だから問題ないという論調である。深夜の記者会見がトレードマークの細川政権だったが、あまりにも唐突かつ突拍子もない発表だったので、大きな反響があった。もちろん大反発である。

 この記者会見で有名になった言葉が「腰だめ」である。細川首相は、記者からの質問の「なぜ7%なのか」に対し「腰だめで決めた」と応えたのである。私も、この回答には卒倒しそうになったことを覚えている。腰だめとは「銃を腰のあたりに当てて、大まかな見当で撃つこと」という意味である。つまり、準備や計画が整わない状態で、物事をはじめるという意味にある。消費税を7%に上げるのが腰だめでは話にならない。

 当時、細川首相の国民的人気は非常に高かった。それまでは、年寄りくさくて、スマートでない政治屋が首相というイメージが強かった。海外に出すのがはずかしいような政治家ばかりだったが、細川さんはマフラーをかっこよく巻いて、海外にもさっそうとデビューした。しかし「腰だめ」発言で、見た目はいいが、頭の中はからっぽということを国民に曝してしまったのである。当然、人気は急落し、退陣に追い込まれた。

 国民福祉税構想の仕掛け人が、当時の大蔵事務次官であった斉藤次郎氏と言われている。首相に「腰だめ」発言を許すような役人ではだめだろう。そんな人間が、復活したと聞いて、ただただ驚くばかりである。

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