2009年10月18日日曜日

健康保険制度の破綻

 後期高齢者医療制度が廃止されることになった。75歳以上の老人にも医療負担を求めるもので、「姥捨て山制度」とか「老人切り捨て制度」などと非難された。年金制度にひずみがあり、社会保険庁が数々の不正を行っていたにもかかわらず、虎の子の年金から保険料を天引きするというやり方にも非難が集まった。

 もちろん、この制度には数多くの問題があり、是正すべき点も多いのは確かである。しかし、一方で、待ったなしでやってくる健康保険制度の崩壊がその背景にあることを忘れてはならない。高齢者に使われる保険料は年12兆円に達する。今後も増加の一途をたどるであろう。国の年収が40兆円しかない国で、この額は異常ではないだろうか。

 先日、個人病院に行く機会があった。そこで、驚いたのは、待合室にいる高齢者の多さである。確かに、高齢になれば健康に不安が出てくる。医者に相談したくなるのも道理であろう。しかし、驚いたのは、受け取っていく薬の多さである。いまは薬局で受け取るのが普通であるが、この病院では窓口で手渡していたので目にとまった。

 ある女性は、窓口であふれんばかりの薬をうけとったあとで、不満を口にしていた。いつももらっている薬が入っていないというのである。おそらく、病院は必要ないと判断したのだろう。少々のやりとりがあったが、病院も説得をあきらめたようだ。それから、10分ほどして、もうひとつの薬の山を受け取ると、彼女は満足そうに帰っていった。

 これでは、保険金が枯渇するのは必至であろう。すでに9割以上の健康保険組合が赤字に転落している。厚生労働省の役人の多くが製薬会社に天下りし、利権を死守しようとしていると聞く。健康保険制度に対し、抜本的な対策を講じない限り、日本の国そのものが崩壊することを忘れてはならない。

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