2007年10月4日木曜日

表と裏

 昔の友人のことをふと思い出した。この人は、ある会社をリストラされたのであるが、幸い、その子会社に職をえることができた。とは言っても、以前の会社に比べれば、給与も含めた待遇はみじめなものである。
 しかし、この友人は健気にがんばった。彼の仕事のひとつに親会社に設置している自動販売機の管理があった。みなさんも暑い日の朝に自販機で買ったドリンクが生ぬるくて腹が立った記憶があるだろう。これは、自販機に入れた缶が冷えるまでに時間がかかるからである。
 そこで、この友人は一計を案じた。最初に商品として出てくるドリングを冷蔵庫で冷やしておこうと。そして、ドリンクを補充する担当の部下に指示した。この画期的なアイデアで、この社の自販機は評判になった。
 ところが、これを面白く思わないバカが居た。友人の上司である。自分に無断で余計なことをしたというわけである。「商品を冷やすために余計なコストをかけて会社に迷惑をかけた」と友人を叱責した。
 この友人は辞表をたたきつけた。その後、彼がどうなったかは知らない。分かっているのは、この上司が画期的なアイデアを出したということで社長表彰を受けたことだけだ。
 もうすぐノーベル賞が発表になる。それが、本人の成果であることを祈るばかりである。

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