2007年10月27日土曜日

新聞配達

 季節はずれの台風が関東に上陸するという。昨夜から降り続いている雨は勢いを増している。屋根に落ちる雨の音で目を覚ました。朝のコーヒーを飲んだあと、新聞受けを見にいくと、雨にぬれないように袋に包まれた新聞がちゃんと届いている。

 思わず、ご苦労さんと頭を下げる。どんなに天候が悪くとも、毎朝、新聞は届けられる。配達しているのは大学生である。新聞奨学生と呼ばれる。

 ほとんどの大手新聞社が採用している制度で、奨学生は、朝夕の新聞配達業務をこなす。その代わり、学費の一部あるいは全額を新聞社が払い、住居と給料も提供するというシステムである。つまり苦学生である。

 場所によって異なるようだが、トーマスが住んでいる地区では、彼らは新聞勧誘や、集金にもやってくる。集金の際に話を聞くと、居留守を使われたり、金がないから後から来いといわれることもあるらしい。

 新しい契約をとると、本当にうれしそうな顔をする。聞くと、都内の大学に通っている。大変だねと声をかけると、大丈夫です。大学を出たら、希望の職につきたいので苦にならないのだという。同情されたくないという強がりが少し垣間見える。

 大学で教えているので、感情移入が強くなる。つい気の毒になって、学生が勧誘にくると加入してしまう。それも半年ではなく一年。すると、学生は輝くような笑顔をみせる。おかげで、トーマスの新聞受けは三社の新聞で満杯である。

 彼らの労働条件は過酷ときく。中には、途中で挫折するものも多いようだ。でも言いたい。この苦労は将来につながるよと。

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