今後、増えるだろうなという事例である。北陸大学でのドイツ語担当教授の解雇だ。
北陸大学では入学者の定員割れなどのため、法学部と外国語学部を未来創造学部に統合した。その際、ドイツ語の教育を廃止したのである。そのあおりで、ドイツ語担当の教授に解雇通知を出したというわけである。
大学側の事情も分かる。このままでは生き残れない。大学がつぶれたのでは、職員を全員解雇しなければならない。その前に、なんとか再編で再生を図ろう。当然、不必要な部門も出てくる。その部門の教授を抱えて高い給料をはらうわけにはいかない。
一方、教授の立場もよく分かる。突然、解雇されたとしても、すぐに次の就職先があるわけではない。「ドイツ語は医療現場などで重要な言語」と主張しているようだ。しかし、別の部門を廃止したら、そこから反対意見が出るであろう。
国は膨大な借金を抱えている。聖域なき改革の一環で、国立大学や私立大学に交付される補助金が、どんどん減額されている。しかも、学生数は年々減り続けている。いままでのような大学経営が成り立つわけがないのである。
解雇を言い渡された教授は地位保全と慰謝料を求めて、裁判で訴えているようであるが、勝訴は難しいであろう。これを認めたら、大学の再編などできなくなるからである。
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