2007年11月20日火曜日

学生評価

 ある予備校の調査である。大学教員の10人に6人がいまの大学生の学力は低下していると感じているという。ただし、裏を返せば、10人のうち4人はそう思っていないということなので、結論を出すのは早計かもしれない。

 大学生の学力低下の要因として「ゆとり教育」が挙げられている。ただし、少子化が進んだために、以前よりも大学に入りやすくなったので、全体のレベルが低下しているという指摘もある。

 ただ、いろいろと聞いてみると、能力が低下しているというよりは、意欲が欠如しているという意見のほうが強い。要は、ハングリー精神がないのだ。トーマスが若い頃は、頑張って大学に行こう。そういう意識が強かった。

 ただし、大学で一生懸命勉強したかといわれると心許ない。大学は勉強するところというよりも、卒業資格をとるだけの場所という意識が強かった。

 社会も大学教育にまったく期待していなかった。企業も、「新人は会社に入ってから鍛えます」という意識が強かったと思う。つまり、大学の存在意義は、その大学の入学試験に通ったという証明だけで、そこで教育を受けたということには、なんの意味もなかったのである。

 トーマスは、東大に入ったが、その教育レベルはあまりにもひどかった。学生に教えるということに意気を感じる教師はほとんどいなかったと思う。ただし、他の大学も同じようなものであった。「本当に勉強したいやつは独学しろ」そういう時代だったのだ。

 最近、学生に「将来の希望はなんですか」というアンケートをとった。「そこそこ暮らしていければ」そんな応えがあった。確かに、いまの日本では、なんとか暮らしていけるだろう。ただ、誰かが言ったほうがよい。いまの暮らしは、日本の高い技術力に裏打ちされているのだと。

 もちろん、将来に大きな希望を持っている学生も多かったことを申しそえておきたい。

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