2007年11月27日火曜日

防衛利権

 1976年に発覚したロッキード事件は、アメリカが田中角栄元首相を潰すために仕組んだ陰謀であると喧伝されたことがある。いまでは、それは否定されている。むしろ、別な側面があったのではないかといわれている。

 ロッキード社は、全日空の旅客機として自社の「トライスター」を納入させるため、合計30億円のカネを日本政界工作に使った。そのうち5億円を総理大臣だった田中角栄氏が受け取ったとされ、収賄容疑、外為法違反容疑などで逮捕された。

 実は、残りの25億円は岸信介氏(安部元首相のおじいさん)の盟友である右翼の大物・児玉誉士夫氏が受け取った(らしい)。そのカネは、彼を通して政界に分配されている(ようだ)。

 アメリカが恐れていたのは、これら自民党の親米政治家がすべて逮捕されて、アメリカの敵である社会党や共産党が利することであった。そのために、田中元首相をスケープゴートにして、他の政治家を守ったといわれている。

 ただし、もっとうがった見方がある。それは、検察の本当のねらいは防衛利権にあったというのだ。裏で動く金額は民間機の比ではない。おそらく、その10倍はあろう。ロッキードの戦闘機F-104とP3C対潜哨戒機をアメリカは自衛隊に売り込もうとしていた。この取引で裏金を受け取ったとされている自民党政治家は、その名前を聞くと、驚くような大物ばかりである。

 皮肉なことに、防衛機密という名のもとに、いままで隠されていた闇が、山田洋行という利権のためだけに存在する商社の内紛で表に出ようとしている。戦々恐々としている政治家や自衛官も多いのではないか。僥倖とはいえ、闇の一部が少しでもあぶりだされるのを祈っている。

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